猪苗代湖集水域の水循環に伴う物質収支に関する研究

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Study on mass balance associated with water circulation in Lake Inawashiro catchment
  • -Focusing on the Neutralization Problem- (3)
  • -中性化問題に焦点を当てて-(3)

抄録

<p>Ⅰ はじめに</p><p></p><p>法政大学水文地理学研究室では、湖沼と集水域の長期的な水環境変化について調査をおこなっており、猪苗代湖に関してはすでに年間を通じての観測を行っている。本研究は、最新の現地調査(2021年7月)と過去のデータ及び既往研究との比較を行うことで、猪苗代湖の中性化の現状をより明らかにすることを目的としている。</p><p></p><p>Ⅱ 研究方法</p><p></p><p> 現地では気温、水温、pH、RpH、電気伝導度(EC)の測定をおこなった。試料は実験室で処理し、TOCやイオンクロを用いて主要溶存成分(N+、K+、Ca²+、Mg²+、Cl-、NO3-、SO4²-)の分析をしている。2020年10月から12月の計7回に及ぶ調査のうち、ボートチャーターの関係により良い天候に見舞われた2020年11月、2021年4月、2021年5月、2021年6月の計4回にわたって湖心の調査を行っている。</p><p></p><p>Ⅲ 結果と考察</p><p></p><p>2021年7月調査では、それぞれの項目において、これまでの調査結果と比較して全体的に低い値が観測された。とりわけ旧湯川の流れる湯川橋では、2021年6月の調査でEC2224であったが、2021年7月の調査では1596という値が得られた。湯川橋では、これまでの計25回の調査のうち最大値は2730であり、最小値は1270であるため、今後の数値の変化にも気を配る必要があると考えられる。また、高森川の流れる中原橋では、2021年7月調査においてEC35という過去最低値をたたき出している。</p><p></p><p>pHは、猪苗代大橋と酸川橋、月輪大橋で3.3-3.5の強い酸性を示す場合が多いが、この3地点は変動係数が非常に大きい。猪苗代大橋の最大値は現在6,7であり、最小値は2.9であるため、今後の数値の変化が期待される。また、2021年7月は丁度梅雨の時期と被り、大量に雨も降っていたため流量が多かった。横沢橋では0.120t/sであった。</p><p></p><p>Ⅳ おわりに</p><p></p><p> これまでの現地調査結果により猪苗代湖水の性質の変化が明らかになったが、中性化に注目するにあたっては、湖の底に沈む泥の性質を調べなければならないとも考えられる。そのため、次回の8月調査ではエクマンバージ採泥器などを用いた採泥調査も視野に入れている。また、流入河川中のフラックス量の増減にも注目し、特に「流量」の測定に一段と気を配りつつ、調査を継続していきたい。</p><p></p><p>参考文献</p><p></p><p>小寺浩二・森本洋一・斎藤圭(2013):猪苗代湖および集水域の水環境に関する地理学的研究(4) -2009年4月〜2012年11月の継続観測結果から-, 2013年度日本地理学会春季学術大会発表要旨集.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390008057582753152
  • NII論文ID
    130008093097
  • DOI
    10.14866/ajg.2021a.0_97
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ