小学生の遺伝のしくみに対する認識

書誌事項

タイトル別名
  • Study of Elementary School Children’s Cognition of Genetic Phenomena
  • ショウガクセイ ノ イデン ノ シクミ ニ タイスル ニンシキ

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説明

<p>小学校において,児童が遺伝のしくみに対して,どのような認識を持っているかをアンケートにより調査した.アンケートでは,植物(被子植物)と昆虫における生活環と生物学的形質の継承に関して説明した図と文章,ならびにメダカの発生過程を説明した写真と文章を提示し,児童はそれらの現象が起こるしくみについて自分の考えを自由に記述した.</p><p>生物学的形質の継承に関して,「子が親に似るのは当たり前」のように,そのしくみについて全く記述しない児童も存在したが,調査を行ったすべての学年(3年生から6年生,合計420名)において,60%以上の児童が何らかのしくみ考えて記述していた.回答の中で,種子や卵の中身に関する記述を行った児童の割合は,種子や卵の外見や環境条件に関する記述を行った児童の割合よりも顕著に多く,5年生ではほぼ6割を占めた.6年生では,受粉・受精に関する記述を行った児童は25%を,遺伝子・DNAに関する記述を行った児童は40%を超えていた.メダカの発生に関する調査は5年生と6年生(計229名)に対して行った.得られた回答は,形態形成とは直接関係のない油滴に関するものが最も多く,遺伝子・DNAに関する記述を行った児童はごくわずかであった.これらの結果から,小学校において遺伝子・DNAのはたらきの概念を児童の間の議論の中で共有化することは,生物学的形質の継承に関しては現状でも可能であるが,発生に関しては困難であることが推測される.</p>

収録刊行物

  • 生物教育

    生物教育 47 (3), 90-98, 2007

    一般社団法人 日本生物教育学会

参考文献 (14)*注記

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