P1-37 エンドウ芽生えからの重力屈性制御物質の探索と機構解明

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タイトル別名
  • P1-37 Structure and Mode of Action of Bioactive Compound Involved in Gravitropism of Pea Seedlings

抄録

植物における光屈性および重力屈性現象については、これまで「オ-キシンが光側から影側に移動(光屈性)または上側から下側へ移動(重力屈性)することによって屈曲する」というCholodny-Went 説によって説明されてきた。一方で、「オ-キシンの横移動は全く起こらず、光側組織で成長抑制物質が生成されることによって光方向に屈曲する」という新たな光屈性の仮説 (Bruinsma-Hasegawa説)が提唱され、重力屈性についても同様に成長抑制物質が関与することが示唆された(図1)1-6)。そこで本研究では、Bruinsma-Hasegawa説に基づき、エンドウ芽生えからその重力屈性に関わる生理活性物質を見出し、それを用いて分子レベルでの作用機構の解明を行うことを目的とする。 図1.光屈性の仮説(左図、中央図)と重力屈性の仮説(右図) 1.アラスカエンドウと重力応答突然変異体ageotropumの重力屈性現象の観察 アラスカエンドウ(Pisum sativum L. cv. Alaska)と重力応答突然変異体ageotropumの黄化芽生えについて、重力刺激による観察を行った。3.5日間、暗所、23.5℃下で発芽・成育させた黄化アラスカエンドウ芽生えの頂端部より、2 mmと12 mm下のところにイオン交換樹脂をラノリンを用いて付着させた。その後、暗所下で芽生えの屈曲角度ならびに成長について赤外線カメラを用いて5分間隔で撮影を行い、その画像をもとに屈曲角度ならびに成長速度を調べた。黄化アラスカエンドウ芽生えを水平に横たえて重力刺激を与えると、その芽生えは約10分後に屈曲し始めたがageotropum芽生えにおいてはほとんど屈曲しなかった(図2)。次に、成長速度解析の結果、垂直に保った芽生えの成長速度に比べ、横たえた芽生えの上側組織の成長速度は重力刺激約10分後から低下した。一方、下側組織の成長速度の変化のタイミングは上側組織に比べて遅く、重力刺激約30分後から上昇した。一方、黄化ageotropum芽生えにおいては、水平に横たえても上側組織および下側組織の成長速度の変化はほとんど認められなかった(図3)。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390008057583259392
  • NII論文ID
    130008092889
  • DOI
    10.24496/tennenyuki.60.0_481-486
  • ISSN
    24331856
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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