P2-24 Daphniphyllumアルカロイドの合成研究

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  • P2-24 Synthetic Studies on Daphniphyllum Alkaloids

抄録

ユズリハ属(Daphniphyllum)植物は東アジアから東南アジア・インドに分布する植物であり、本植物より多種多様な骨格を有するアルカロイド(Daphniphyllumアルカロイド)が単離されている1。それらのアルカロイドは、その骨格を基盤としていくつかのグループに分類されるが、複数のグループが共通してもつ部分構造も存在する。例えば、ユズリミン、ユズリン、カリシフィリンA、ダフマニジンAは、分子全体の構造は大きく異なり、それぞれ分子の名前が冠されたグループに分類されるが、 [7-5-5]三環性骨格を共通構造としてもつ。その三環性骨格は、連続する2つの不斉中心、第四級炭素、さらにはそれらに隣接した四置換二重結合を構造的特徴とする。いくつかのDaphniphyllumアルカロイドの合成はこれまでにも報告されているが、この三環性骨格の上記特徴をすべて備えた化合物の合成は、Smithらにより報告されたカリシフィリンNの合成に限られる2。その理由の一つとして考えられるのが、その不斉中心の制御もさることながら、ビシクロ[3.3.0]骨格の橋頭位に押し込められた四置換二重結合の不安定性である。お椀型のビシクロ[3.3.0]骨格の橋頭位に平面的な二重結合が配置されることで歪みが生じる。この歪みを制御しながら、位置選択的に二重結合を導入する必要がある。今回我々は、Claisen-Ireland転位反応、分子内カルボニル-エン反応、2,3-Wittig転位反応を鍵工程として、複数のDaphniphyllumアルカロイドが共通してもつ三環性骨格の構築について成功した3。また分子内C-H挿入反応を基軸とする同三環性骨格の構築に関する検討も行った。以下、それらの詳細を記す。  4-ペンチン-1-オール(1)のヒドロキシ基をTBS基で保護した後、ヒドロキシメチル化およびアルキン部位の部分還元を行うことでcis-アリルアルコール3を調製した。カルボン酸Aと縮合することでエステル4へと変換し、Claisen-Ireland転位反応の条件に付した4。反応は6.3:1のジアステレオ選択性で進行し、73%の収率で転位成績体5を得た。カルボン酸部位を、混合酸無水物を経由しアルコールへと還元し、ベンジルエーテルとして保護した。得られた6をルテニウム触媒(B, Zhan

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390008057583276672
  • NII論文ID
    130008092900
  • DOI
    10.24496/tennenyuki.60.0_631-636
  • ISSN
    24331856
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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