航空旅客流動動態からみる都市ネットワーク構造の変遷

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  • Transition of urban network structure from the viewpoint of air passenger flow dynamics

抄録

<p>Ⅰ.研究目的と研究対象</p><p></p><p>世界諸都市間の航空旅客流動を指標に、国境を超越する都市間流動の実態を明らかにし、都市ネットワーク構造の変遷過程を明らかにする。研究対象とするネットワークは、2018年時点の世界諸都市の航空旅客流動量上位30都市が有するネットワークである。ICAO(International Civil Aviation Organization)が発行する、世界諸都市間の航空流動統計であるOFOD統計(On Flight Origin and Destination)を用いた分析の一例を下記に示す。</p><p></p><p></p><p></p><p>Ⅱ.分析と考察</p><p></p><p>上位10都市の上位10路線という限られた範囲での航空旅客流動の分析になるが、OFOD統計にて分析できる最初の年次である1982年より9年毎に分析すると、上位に位置する都市、路線、都市ネットワーク構造が変遷していることが明らかとなった。ただし、ロンドンが一貫して首位であった。次いで、パリや東京、フランクフルトといった世界都市が続く一方、香港やソウルといった東アジアの都市が伸張した。</p><p></p><p>直近の対象年である2018年の航空旅客流動を地図上に示したものが図1である。航空旅客流動の大きな需要は主に近距離・中距離路線にある。長距離路線での流動も活発である航空貨物流動(図2)とは差異が見られた。路線長のみならず、旅客あるいは貨物が発着する都市の顔触れも異なっていた。</p><p></p><p>OFOD統計の集計値には、実態とそぐわないと思われる面もある。ACI(Airports Council International)が発行するWATR(World Airport Traffic Report)の旅客数集計値と比較すると、両者で約4倍の差が開く都市もあった。その要因の一つは、OFOD統計では有償旅客数の過小報告及び未報告が多いことである(山田ほか、2014)。</p><p></p><p>今後の課題としては、流動する旅客人数を集計したOFOD統計とは集計項目が異なるが、集計の正確性がより高いと考えられるWATRやOAG時刻表等を用いて旅客便数を把握し、両者の集計結果の差異と限界について検討することが挙げられる。</p><p></p><p></p><p>参考文献</p><p></p><p>山田幸宏・井上岳・小野正博 2014. 路線別国際航空旅客数の推定方法. 国土技術政策総合研究所資料 No.786.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390008057583588352
  • NII論文ID
    130008092994
  • DOI
    10.14866/ajg.2021a.0_110
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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