岩手県宮古市田老地区での東日本大震災と医療・保健活動

  • 黒田 仁
    東北大学病院 総合地域医療教育支援部

書誌事項

タイトル別名
  • The Great East Japan Earthquake and health care in Taro district, Iwate prefecture, Japan
  • 第14回学術集会 教育講演4 岩手県宮古市田老地区での東日本大震災と医療・保健活動
  • ダイ14カイ ガクジュツ シュウカイ キョウイク コウエン 4 イワテケン ミヤコ イチダロウ チク デ ノ ヒガシニホン ダイシンサイ ト イリョウ ・ ホケン カツドウ

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抄録

<p> 岩手県宮古市田老地区(旧下閉伊郡田老町、人口約4,500人)は明治29年と昭和8年の大津波被害の歴史から巨大防浪堤の建設、避難訓練や伝承教育など町ぐるみで津波防災に尽力してきた。一方、医科医療機関は国保田老診療所(旧田老病院)のみで平成19年より医師は私1人。平成20年4月国保田老病院は一般病床19床の在宅療養支援診療所・国保田老診療所に改組され、医師1名、看護師13名、検査・放射線技師各1名で外来・入院・在宅・一次救急、保健・福祉活動を行い、職員皆で地域の健康保持・医療提供を担っていた。特に私が赴任した平成13年からは家庭血圧測定や在宅医療を推進し、医療の民主化に取り組んできた。そこへ平成23年3月11日、大地震に続く大津波が田老地区にも襲来。診療所を含む中心地は壊滅。約1,600棟が全壊。死者・行方不明者は180余名を数えた。</p><p> 今回の大災害に際して、①地震から津波襲来まで、②被災直後の医療活動・非被災地域の関わり、③避難所・仮設住宅での健康管理、④診療機能の維持、⑤心のケア、⑥支援の受け入れ、⑦検案に対し臨機応変の対応を行った。支援については国境なき医師団の協力が大きかった。田老地区は震災以前から医療資源が乏しく、皮肉なことにそれが大災害に際して功を奏したようでもある。まさに医療者だけでは医療ができないことを実感し、住民との協働の重要性を体感した。未曾有の大災害と我々の医療・保健活動について概説する。</p>

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