茨城県における林業用苗木生産の実態と安定供給に向けた課題

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タイトル別名
  • Current State of Seedling Production for Forestry and Challenges toward Steady Supply in Ibaraki Prefecture
  • イバラキケン ニ オケル リンギョウヨウ ナエギ セイサン ノ ジッタイ ト アンテイ キョウキュウ ニ ムケタ カダイ

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抄録

日本の林業用苗木の生産本数と生産者数は1960年代以降減少を続けているが,2010年代に入ってから主伐が増加傾向にあり,再造林に不可欠な林業用苗木の安定供給が求められている。裸苗とコンテナ苗それぞれの生産工程を含む生産実態と林業用苗木の安定供給に向けた課題を明らかにするため,茨城県内でコンテナ苗生産も始めた全5名の林業用苗木生産者を対象に2017年に聞き取り調査を行った。その結果,5名は所有する1.4~4.3haの土地を運用する1つの手段として苗木生産を位置付け,苗畑経営面積0.5~2.0haで2016年度に5万6千~20万本を生産していること,苗木需要に応じて裸苗とコンテナ苗の生産の組み合わせにより苗畑経営を図っていること,今後については労働力確保を重要な課題としており,生産管理が比較的容易なコンテナ苗生産がその課題解決に有効と考えていることが明らかになった。他方で,コンテナ苗には裸苗に見られない特有の生産工程があり,生産量によっては機械や設備への投資が必要になるため,今後は苗木全体の需要の見通しの明確化と生産技術の発展に加え,労働力確保の課題解決に向けたさらなる追求が必要と考えられる。

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