「植栽を促進する地域」の内外における伐採傾向の差

  • 山田 祐亮
    国立研究開発法人森林総合研究所森林管理研究領域
  • 當山 啓介
    東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林千葉演習林

書誌事項

タイトル別名
  • Estimating the Differences of Logging Tendencies between Inside and Outside Zone to Promote Planting
  • 「 ショクサイ オ ソクシン スル チイキ 」 ノ ナイガイ ニ オケル バッサイ ケイコウ ノ サ

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抄録

<p>地域レベルの森林政策の効果を適切に評価することは,森林管理の持続可能性を担保する上で重要である。本研究の対象地では循環的な林業経営を推し進めるため,2017年に林業経営に比較的有利な地域を「植栽を促進する地域」(以下,促進地域という)に指定し,皆伐後の植林を呼び掛けている。本研究では,促進地域の設定が人工林において皆伐実施面積と実施場所に与えた影響を分析した。バイアスを避けるため,促進地域を設定したことによる影響を,傾向スコアによる逆確率重みづけ法で算出したATT(average treatment effect on the treated:処置群での平均処置効果)により評価した。その際,林齢,傾斜,道からの距離を共変量とした。分析の結果,促進地域内における2年間の皆伐面積が全面積の1.23%であるなか,ATTは-0.22%±0.11%(95%信頼区間)だった。これは,促進地域内では促進地域外より皆伐が行われない傾向となったことを示している。この結果は,循環的な林業経営を推進する施策の狙いと矛盾する。このような政策効果の定量的な評価は,地域レベルの持続的な森林管理に必要不可欠である。</p>

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