スギ地上部の異なる器官に分布する線虫の群集構造と菌糸量の推定

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タイトル別名
  • Above-ground Nematode Community Structure and Hyphal Abundance in Different Organs of a Japanese Cedar (<i>Cryptomeria japonica</i>) Trees
  • スギ チジョウブ ノ コトナル キカン ニ ブンプ スル センチュウ ノ グンシュウ コウゾウ ト キンシリョウ ノ スイテイ

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抄録

<p>スギの枝葉は枯死後も樹上に存続するため,リター化した器官は落下前から細菌や真菌などの微生物により分解される可能性が高い。しかし微生物は線虫に摂食されることから,線虫群集は地上部のリター化したスギ枝葉の分解に間接的に関与すると考えられる。本研究では,スギ林の地上部に生息する線虫群集を明らかにするため,スギの異なる器官に分布する線虫の群集構造を調べた。三重県のスギ林分1 haにて,スギ成木の生葉,枯死葉,樹皮,林床リターを採取した。各試料から線虫をベルマン法により分離し,光学顕微鏡下で形態にもとづき同定した後,口部形態により細菌食,真菌食,植物食,肉食,雑食性に類別した。さらに各器官および林床リターに分布する糸状菌量を光学顕微鏡下で直接計測した。その結果,全ての器官および林床リターにおいて真菌食性線虫が70%以上と優占した。生葉と枯死葉の線虫機能群は,樹皮や林床リター由来のものに対して有意な入れ子構造を示した。枯死葉と林床リターの菌糸長は生葉よりも有意に高かった。以上より,スギ林の地上部には線虫が生息しており,餌となる真菌類の分布の程度が線虫の個体群維持や群集形成に影響していると考えられた。</p>

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