ダーモスコピーが診断に有用であったeruptive syringomaの2例

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タイトル別名
  • Two cases of eruptive syringoma presenting with characteristic dermoscopic findings
  • ダーモスコピー ガ シンダン ニ ユウヨウ デ アッタ eruptive syringoma ノ 2レイ

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抄録

Eruptive syringomaはsyringomaの1型であるが,眼瞼に生じるeyelid typeと比べ,比較的稀である.今回我々はeruptive syringomaの2例を経験したのでダーモスコピー所見の特徴について考察した.症例1:21歳男性.19歳頃から躯幹の皮疹を自覚.腋窩,胸腹部に褐色丘疹が多発し,前医で扁平疣贅として加療されたが改善なく当科紹介となった.初診時,臨床からDarier病を鑑別として考えた.症例2:67歳男性.20代から全身に瘙痒を伴う皮疹を自覚していた.躯幹,四肢に褐色丘疹が多発.症例1および2のダーモスコピー所見は,境界明瞭な淡褐色のpigment networkを呈した.病理組織学的所見は軽度の表皮肥厚と真皮内に管腔状に配列する上皮成分と膠原線維の増加あり.症例1および2とも体幹に多発する褐色の扁平な小丘疹が多発する臨床と,汗管様の管腔構造が増生した病理組織学的所見を併せてeruptive syringomaと診断した.症例1で臨床的に鑑別を要した,扁平疣贅,Darier病との比較を行った.汗管腫,扁平疣贅,Darier病といずれも青年期に発症することが多く,褐色の扁平小丘疹を呈するが,汗管腫では表面平滑で病変の境界がやや不明瞭なのに対し,扁平疣贅,Darier病では表面粗造で境界は明瞭である.ダーモスコピー所見と病理組織学的所見を対比してみると,汗管腫のダーモスコピー所見で見られた白色領域は真皮網状層の膠原線維の増生に対応する.境界不明瞭であることは真皮内病変であることに対応する.扁平疣贅のダーモスコピー所見は表皮肥厚に対応して境界は明瞭であり,小点状血管がみられる. Darier病のダーモスコピー所見では白色のhaloに囲まれた褐色領域が見られ,褐色領域は過角化による角栓に対応する.汗管腫の角層は表面平滑で,扁平疣贅とDarier病は表面粗造であり, その点をダーモスコピーで観察することがeruptive syringomaの診断に有用であると考えた.

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