マウス2細胞期における早期<i>In</i> <i>Vivo</i>胚,後期<i>In</i> <i>Vivo</i>胚,IVF胚及びICSI胚の–80℃凍結耐性について

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タイトル別名
  • Tolerance of mouse 2-cell embryos derived from early <i>In Vivo</i>, late <i>In Vivo</i>, IVF and ICSI against preservation at -80℃

抄録

<p>【目的】「哺乳類の胚発生に地球の重力は必要か」この問いの解明に向け,我々は国際宇宙ステーション(ISS)にマウス凍結2細胞期胚を運び,微小重力環境での融解,培養を計画している。この計画には大量の胚を用意し,–80℃で保存する制約のもと必ず成功させなければならない。胚の回収から凍結までの最も効率的な凍結胚の作製方法を決定するため,–80℃で2細胞期胚の保存が可能なHOV法(Mochida et al., 2013)を用いて,Vivo胚,IVF胚及びICSI胚の凍結耐性と発生能を比較した。更にVivo胚の回収時期と凍結の最適タイミングについても検討した。【方法】ICR系統マウスを用いて以下の実験を行った。実験1ではVivo胚,IVF胚,ICSI胚の2細胞期胚をそれぞれ凍結し,–80℃で3日間以上保存後に融解し,生存率,発生率及び産仔率を比較した。実験2ではVivo胚を卵管から回収する時期と凍結までの体外培養時間について最適条件を検討した。【結果・考察】実験1:融解後の生存率はVivo胚がIVF胚及びICSI胚よりも有意に高かった(62% vs. 35–40%)。胚盤胞率はVivo胚とIVF胚がICSI胚よりも有意に高かった(50–68% vs. 10%)。胚盤胞率の高かったVivo胚とIVF胚を移植した結果,両者に有意な差はなかった(66%及び55%)。実験2:2細胞期のVivo胚を17時に回収し,18時に凍結した区の生存率,発生率,産仔率は9時回収–10時凍結区,及び9時回収–18時凍結区と比較して最も高いことが分かった(産仔率:59% vs. 43–44%)。またDNA合成阻害剤を用いた実験から,9時回収胚はG2期(84%)とS期(16%)の胚が存在していたのに対し,17時回収胚は全てG2期の胚だった。この結果から細胞周期の違いが凍結耐性に影響していることが示唆された。本研究によって,ISSへ運ぶ凍結胚は17時に回収した後期2細胞期Vivo胚を1時間休ませてから凍結した作製方法が最適であることが分かった。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390008222261197184
  • NII論文ID
    130008103917
  • DOI
    10.14882/jrds.114.0_p-95
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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