黒毛和種ドナー牛のゴナドトロピン受容体遺伝子型および系統が過剰排卵処置成績に及ぼす影響

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  • Effects of genetic polymorphisms in gonadotropin receptors and bloodlines on responses to superovulation in Japanese Black cattle

抄録

<p>【目的】受精卵移植はウシの遺伝的能力向上のために重要な技術であるが,ドナー牛の過剰排卵処理成績の個体差が受精卵の生産効率を低下させる要因となっている。本研究では卵胞発育や排卵に関わる遺伝子の多型およびドナー牛の父の系統が過剰排卵処理成績に及ぼす影響について,過剰排卵処理成績と強く相関する血中抗ミューラー管ホルモン(AMH)濃度を共変量とした一般化線形混合モデル(GLMM)により解析した。【方法】黒毛和種ドナー牛143頭のDNA試料を用い,PCR-RFLP法によって glutamate ionotropic receptor AMPA type subunit 1(GRIA1; c.710A>G)、卵胞刺激ホルモン受容体(FSHR; c.337C>G,c.871A>G,c.1973C>G)および黄体形成ホルモン受容体(LHCGR; c.51726A>G)の一塩基多型を判定した。血中AMH濃度,農場,月齢,過剰排卵処理回数を共変量としたGLMMを用い,延べ997回の過剰排卵処理成績(総回収卵数,受精卵数および凍結可能卵数)に対する遺伝子型およびドナー牛の父の系統(田尻系,気高系,藤良系)の効果を分析した。【結果】田尻系ドナー牛のGRIA1遺伝子型頻度において、ハーディー・ワインベルグ平衡からの逸脱(p<0.01)が検出された。田尻系は過剰排卵処理成績が低下するとされるAアリルの頻度が高く,産肉形質の選抜によるGRIA1遺伝子型頻度への影響が示唆された。FSHR遺伝子(c.337C>G)CG型のドナー牛は,CC型に比較して凍結可能卵数が有意(p<0.05)に多かった。気高系ドナー牛は,藤良系に比較して総回収卵数、受精卵数および凍結可能卵数が有意(p<0.001)に多かった。気高系は,田尻系と比較しても受精卵数および凍結可能卵数が有意(p<0.05)に多かった。以上より,黒毛和種ドナー牛の遺伝子型および系統が過剰排卵処理成績に影響を及ぼすことが示された。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390008222263264000
  • NII論文ID
    130008103867
  • DOI
    10.14882/jrds.114.0_p-10
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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