黄体形成ホルモン遺伝子の未成魚における過剰発現は雄ニジマスを早熟化するか?

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タイトル別名
  • Overexpression of luteinizing hormone in pre-puberal male rainbow trout can induce precocious maturation?

説明

<p>【目的】本研究室では精原細胞移植により作出した宿主に,ドナー細胞由来の配偶子を生産させる“代理親魚技法”を確立している。実際に成熟までに4–6年を要するキングサーモンの配偶子をニジマス代理親魚に生産させることで,1–2年という短期間でキングサーモンの配偶子を得ることに成功している。しかし,ニジマス宿主の成熟には最短でも1年を要する。本研究ではこの限界を超えるため,黄体形成ホルモン(lh)遺伝子をニジマスに過剰発現させ,1年未満で成熟する早熟の宿主用ニジマスの作出を目指した。【方法】恒常的に発現する熱ショックコグネイト(hsc71)遺伝子のプロモーターを含むLh発現コンストラクト(hsc:lh,α鎖とLhβ鎖の一本鎖タンパク質を発現)を構築し,ニジマス受精卵へ顕微注入した。次に4ヶ月齢の第一世代雄個体の尾部組織を用いたRT-PCR法によりlh遺伝子の発現解析を行った。さらに,ELISA法による血漿11-ケトテストステロン(11-KT:魚類のアンドロゲン)濃度の測定および精巣の組織学的観察を行った。最後に第一世代雄個体の精子生産を経時的に確認し,得られた精子の受精試験を行った。【結果】4カ月齢のhsc:lh導入個体では,導入lh遺伝子の転写産物が検出され,野生型個体の3倍以上の11-KTが検出される個体も認められた。また,野生型個体では未分化なA型精原細胞のみを保持していたのに対し,これらの個体では精母細胞が確認された。その後,hsc:lh導入個体が6ヶ月齢に達した段階で精巣内に精子が出現した。そこで,精巣を人工精漿内でミンスした精子懸濁液を用いて受精試験を行った。その結果,正常な発生能を有するhsc:lh導入次世代を得ることに成功した。なお同月齢の野生型個体はA型精原細胞のみを保持していた。以上のように本研究ではhsc:lhの導入により6カ月で成熟する早熟ニジマスの作出に成功した。今後は雌の早熟化を目指すとともに,早熟雄ニジマスを宿主に用いることによりキングサーモン配偶子の短期間生産を目指す。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390008222264237952
  • NII論文ID
    130008103802
  • DOI
    10.14882/jrds.114.0_p-23
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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