練馬区と地域の薬局との協働による禁煙支援事業

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • ~禁煙達成状況とアンケート結果~

この論文をさがす

抄録

【目 的】<br>  平成21年度練馬区健康実態調査によると、区民の喫煙率は男性28.7%、女性9.5%で、このうち5割の者が禁煙を希望していた。練馬区ではこれまで禁煙教室や禁煙相談を実施していたが利用者が限られており、禁煙希望者に効果的な禁煙支援を行えない現状にあった。そこで、練馬区薬剤師会と練馬区が協働し、区民の健康の保持・増進を目的に禁煙支援薬局事業を行ったので成果を報告する。<br> 【方 法】<br>  利用者の性別、年齢、喫煙本数、喫煙年数、ニコチン依存度(FTND)、ブリンクマン指数、過去の禁煙経験と禁煙補助剤使用の有無、禁煙を希望する理由、事業の把握経路については利用申込時の質問票にて回答を得た。また、禁煙補助剤の使用終了直後と終了6か月後に利用者へ郵送によるアンケート調査を行った。アンケート内容は、禁煙状況および禁煙達成者からのメッセージとした。得られた結果はExcel2010にて集計および解析を実施した。<br> 【考 察】<br>  禁煙補助剤使用終了6か月後アンケートの禁煙達成状況の結果から、禁煙補助剤はニコチン依存度の低い人だけ でなく、高い人にも有効であることが示唆された。<br>  しかしながら、ニコチン依存度が中程度の人において、完全禁煙率が低かったことは、この群へのフォローの必要性を示唆する結果であった。禁煙補助剤の使用終 了直後のアンケートから、禁煙補助剤の費用助成が、禁煙にチャレンジするきっかけになったという意見が多く あった。禁煙補助剤を使用した禁煙方法を知らなかった群や、禁煙補助剤の価格等がバリアとなって禁煙に踏み 出せない群に対して、本事業の有用性を示唆する結果であった。また、禁煙外来よりも薬局に行く気軽さも要因 として推測される。アンケートに記載されていた禁煙成功者のメッセージは、その後の禁煙支援事業に活用する など本事業は多くの有用性があった。<br>  今回の事業は、禁煙補助剤の費用助成に加え、地域の 薬局薬剤師によるきめ細やかな支援により約35%という高い成功率をあげることができた。一方、禁煙マラソンの 登録者は若干名ではあったが、登録者は禁煙を達成した者が多かったと考えられる。禁煙マラソンの効果の説明 とともに登録をさらに勧めていくことが効果的であると考える。<br>  行政と地元の薬剤師会が協働で禁煙支援事業を提供することは、地域住民にとって有用である。さらに協働体制を強化していくことが必要である。今後の事業計画であるが、2年目の今年は、禁煙成功率のさらなる向上を目指し薬局との情報共有の書式を見直し実施している。また、特定保健指導対象者の喫煙者に案内を郵送し啓発している。3年目は、特定健康診査を受診した喫煙者全員に案内を郵送するなど、啓発の工夫に重点をおき、地域の薬局が禁煙支援の拠点として継続した活動に取組めるようにしていく予定である。<br> 【結 果】<br>  事業に申込んだ106人の内訳は、男性67人、女性39人、平均年齢は52歳だった。平均喫煙本数は18.5本、平均喫煙年数は30年、申込者のニコチン依存度別内訳は、高が48人(45.3%)、中が44人(41.5%)、低が13人(12.2%)で、平均ニコチン依存度(FTND)は6.1点だった。ブリンクマン指数は、200以上が86%だった。過去に禁煙にチャレンジしたことがある者は67%で、過去に禁煙補助剤を使用したことがある者は32%だった。禁煙をしようと思った主な理由は75.5%が健康のためだった。<br>  事業の主な把握経路は、区報が59.4%、新聞が20.8%だった。禁煙補助剤の使用終了直後の完全禁煙は42.5%、減煙は34%だった(アンケート回収率85.8%)。禁煙補助剤使用終了から6か月後の完全禁煙は34.9%で減煙は24.5%だった(アンケート回収率

収録刊行物

  • 禁煙科学

    禁煙科学 vol.5 (09), 3-5, 2011

    日本禁煙科学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ