P-6-06 当院の長期入所重心患者の移行期医療(トランジション)について

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  • 澤井 康子
    独立行政法人 国立病院機構 奈良医療センター 小児神経科

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抄録

はじめに 小児期発症疾患を有する患者の成人期に向かう診療にあたっての、小児期医療から成人期医療への移り変わり、すなわち、移行期医療(以下、トランジション)は重要な課題となっている。重症心身障害児(者)においても、トランジションがスムーズにいかないことも多い。この度、当院でのトランジションについて報告する。 当院のケース 当院には、97名の長期入所患者があり、平均年齢が46.5歳(14〜68歳)である。2010年患者80名を4名の小児科医が担当。その後、小児科医2名の退職に伴い、2011年患者80名を小児科医2名内科医1名外科医1名で担当。2013年新病棟建設に伴い、重心病棟が80床から100床に増床。それを機会に、「常勤医師は、1名は長期重心患者を担当する」ということが医局会で決まり、現在、小児科医が28名を担当、外科医が27名、内科医が31名、神経内科医が6名、脳神経外科医が3名、整形外科医が1名、ペインクリニック外科医が1名を担当している。当初は、慣れない医療に対して不満の声もあったが、次第に「慣れ・親しみ」がみられるようになっている印象である。 長期入所患者の2018年度の医療状況をみると、呼吸器感染・呼吸不全による点滴等の加療42名(44%)、尿路感染・尿路結石等の加療15名(16%)、抗てんかん薬の定期内服が必要な者は66名(69%)、イレウスや消化管出血等での加療22名(23%)、緊急外科的手術は消化器緊急外科手術3名(3%)、骨折の治療は2名(2%)であった。 考察 トランジションを効果的にすすめるには、当院のように、医療体制の変化の機会をうまく利用してゆくことは有効と思われる。 重心長期入所で対応が必要な医療状況をみると、呼吸器疾患・てんかん・消化器疾患が多く、その面でのサポートができれば、様々の科の医師の協力も得やすいのではないかと思われる。 申告すべきCOIはない。

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