「COVID-19に対する各大学の対応と生理学及び薬理学教育への影響に関する緊急合同調査」についての結果報告

書誌事項

タイトル別名
  • Responses to the COVID-19 pandemic and its impacts on pharmacology education in the universities and colleges in Japan: nationwide emergency survey jointly conducted by the Physiological Society of Japan and the Japanese Pharmacological Society
  • 「 COVID-19 ニ タイスル カク ダイガク ノ タイオウ ト セイリガク オヨビ ヤクリガク キョウイク エ ノ エイキョウ ニ カンスル キンキュウ ゴウドウ チョウサ 」 ニ ツイテ ノ ケッカ ホウコク

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説明

<p>2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の増加に伴い,大学教育は従来型の一斉授業から遠隔授業へと教育形態が変貌した.慣れない中で遠隔授業が普及したが,学会員間での新たな教育形態の情報共有のため,日本生理学会と日本薬理学会が共同で「COVID-19に対する各大学の対応と生理学及び薬理学教育への影響に関する緊急合同調査」を実施した.本稿ではこの全国アンケート調査の結果を報告する.薬理学会では2020年8月から9月にかけて,メールにてアンケートを依頼し,202大学の薬学部,医学部,歯学部,獣医学部等の薬理学講座より回答をいただいた(回答率89%).講義の方法を変更した講座は85%,実習の方法の変更は70%であった.講義では,対面での講義に代わり,ライブ講義とオンデマンド講義の使用が各30%,ライブとオンデマンドの併用が40%であった.実習ではライブあるいはライブとオンデマンドの併用が25%,オンデマンドによる実習が45%であった.ライブの長所には,質問を受け入れやすい双方向性のやり取りが,オンデマンドの長所には,聴講時間に関する自由度の高さと復習のしやすさが挙げられた.オンラインの短所には,学生の理解度,視聴の状況,学生の反応が把握できない点,通信環境の不具合が挙げられた.また,学修水準の二極化を危惧する声もあった.実習では,リアリティの欠如や動物実験に関する長所・短所が挙げられた.60%以上の講座では,COVID-19収束後も新たに導入した教育形態の活用を希望していた.自由意見では,学生のメンタルヘルス不調や生活リズムの乱れなどの懸念や,オンライン教育の質の担保,著作権の問題などが挙げられた.With/Afterコロナの世界におけるNew Normalとして遠隔教育をどのように導入し改良していくか,大学の薬理学教育は大きな転換点を迎えている.</p>

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌

    日本薬理学雑誌 156 (6), 324-329, 2021

    公益社団法人 日本薬理学会

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