O-20-03 常同的な感覚遊びへの取り組みについて

  • 児玉 雅巳
    社会福祉法人 鶴風会 東京小児療育病院 リハビリテーション科
  • 石黒 礼華
    社会福祉法人 鶴風会 東京小児療育病院 リハビリテーション科
  • 飛田 孝行
    社会福祉法人 鶴風会 東京小児療育病院 リハビリテーション科

書誌事項

タイトル別名
  • −感覚・運動学習の促進と環境設定を通して−

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説明

はじめに 感覚・運動の調整が難しい重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))の中には常同的な激しい感覚遊びがみられる事がある。そのため、安全性確保の側面から自発運動の制限をせざるを得ない場合がある。 今回、当院に長期入所中で激しい感覚遊びを行う重症児(者)への感覚・運動学習と、車いすや遊びの提供などの環境設定により、遊びの質が変わり、QOL向上につながる結果が得られたので報告する。 対象 低酸素脳症後遺症による脳性麻痺を呈する20代男性。ADL全介助。大島分類1。車いす座位時の左踵部を激しく足台に打ち付ける運動と姿勢の崩れ、強い咳こみが問題とされている。 方法 病棟スタッフに対し本症例の対応に苦慮する行動を調査し、車いす座位時の行動6項目(①左踵部の打ち付け・②右下肢にみられる①の連合反応・③姿勢の崩れ・④むせ・咳きこみ・⑤首振り・⑥左上肢による自傷行動)を抽出した。それらの出現頻度が高い時間を特定し、その10分間を5日間記録した。 PTは足底や座骨での支持面の知覚を可能にし、抗重力伸展活動を高めて、座位姿勢の安定を図った。そして、その姿勢での目的的随意運動の獲得と、上下肢の感覚遊びであった行動を探索行動へ変換できるように促した。また、得られた姿勢と運動を日常生活で再現できるように車いすの改良を行った。OTは、下肢の強い感覚遊びに替わる上肢の感覚探索運動の促進と好きな感覚刺激を楽しめる遊びの提供を行った。 結果 介入前は、6項目のうち、①が他の項目を先行して開始され、強く継続されることで他項目が誘発されていた。介入後、①の強度減弱と回数の減少がみられ、②も減少した。それに伴い、③④も減少した。⑤⑥は大きな変化はみられなかった。 考察 今回得られた結果は、PT・OTの介入に加え、環境設定を徹底したことで得られ、日常生活でも、その結果の持続がみられたと考えられる。今後も継続することで、QOL向上に繋がることが示唆された。 申告すべきCOIはない。

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