P-2-02 重症心身障害児(者)への訪問カレッジの取り組み

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抄録

はじめに 重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))は、特別支援教育の高等部を卒業すると教育との関りが全くなくなってしまう。そこで、重症児(者)が教育との関りを絶やすことなく、生涯にわたって学習する機会を提供することを目的とした「訪問カレッジ」活動を試みたので報告する。 方法 特別支援学校引退後の教諭が中心となり、主に教育学部の大学生にボランティアを募り、以下の活動を実施した。場所はつばさ静岡のホール(約200人収容)を使用した。コンセプトとしては、大人としての学びの場であること(幼い内容にならないこと)、地元で活躍している人によること、本物であることに留意した。また歓談場所を設けることで来場者がゆっくりと過ごせる環境も提供した。 内容は、音楽科学生によるクラシック音楽を中心としたピアノ演奏と歌、コーヒー作製の工程を見ながらの講話と試飲、また部屋を別にしてアロママッサージを行った。2回目は同内容に加えて、プロの画家による作品展示と絵画の指導を行った。 結果 場所をつばさ静岡で行ったことにより、施設入所者の参加が大半を占めたが、外部からも十数名の参加者があり、参加後のアンケートからも「癒される時間だった」「友達に会えてよかった」「また来たい」「続けてほしい」等の高い評価が得られた。 考察 重症児(者)は高等部卒業後、教育との接点がなくなり、その活動は「絵本の読み聞かせ」「童謡などの音楽」「アニメの鑑賞」など、幼いものになりがちである。年齢に相応しい配慮が必要だが、「訪問カレッジ」は教育者が関わることでその目的に近づくことができたと思われる。 また、高等部卒業後、会うことのなかった同級生と再会して旧交を温めることができ、さらにボランティアに訪れた学生が重症児(者)と出会うきっかけにもなるなどの副次的な効果もみられている。今後も少しずつ趣向を変えながら、この活動を継続していく予定である。 申告すべきCOIはない。

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