O-28-03 家族のない重症心身障害者における、多職種による方針決定と看取りの経験

DOI
  • 杉森 光子
    社会福祉法人 日本心身障害児協会 島田療育センター 小児科
  • 上山 和恵
    社会福祉法人 日本心身障害児協会 島田療育センター 療育部
  • 伊東 妙子
    社会福祉法人 日本心身障害児協会 島田療育センター 療育部
  • 池田 秀子
    社会福祉法人 日本心身障害児協会 島田療育センター 理学療法科
  • 中村 千春
    社会福祉法人 日本心身障害児協会 島田療育センター 言語聴覚科
  • 高橋 美智
    社会福祉法人 日本心身障害児協会 島田療育センター 小児科
  • 明城 和子
    社会福祉法人 日本心身障害児協会 島田療育センター 小児科
  • 高橋 佳代子
    社会福祉法人 日本心身障害児協会 島田療育センター 小児科
  • 大瀧 潮
    社会福祉法人 日本心身障害児協会 島田療育センター 小児科
  • 上石 晶子
    社会福祉法人 日本心身障害児協会 島田療育センター 小児科
  • 有本 潔
    社会福祉法人 日本心身障害児協会 島田療育センター 小児科
  • 木実谷 哲史
    社会福祉法人 日本心身障害児協会 島田療育センター 小児科

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抄録

はじめに 意思表示できない利用者の治療方針は、家族と医師の話し合いで決定されることが多い。また終末期は個室での医療行為が中心となり、関わる職員が限られることが多かった。治療方針決定に多職種が関わり、看取りを行った症例について報告する。 症例 70歳男性。細菌性髄膜炎後遺症で、寝たきり、意思疎通は困難。家族なし。成年後見人2名。13歳から当院で生活している。栄養は胃瘻からの注入。 経過 64歳時S状結腸癌(StageⅡ)、3か月後上行結腸癌の手術を受けた。化学療法開始後気道および尿路感染を反復するため、治療検討委員会に諮り中止した。術後1年10か月右肺に転移巣が出現、徐々に増大した。職員間で話し合い、化学療法は行わず普段通りの生活を続けることを希望し、治療検討委員会で承認された。終末期に関して病棟職員に行ったアンケートでは、「苦痛を緩和」しながら、「自然に」「当院」で「見守られながら」死を迎えたい、という意見が多数を占めた。術後4年9か月 両側肺に多発転移巣が出現、余命3-6か月とされた。カンファレンスで上記の方針を確認するとともに、以前の様子を知る職員やリハビリスタッフから、本人が好むものの情報を得た。術後5年6か月一時危篤状態になったが、緊急カンファレンスで、採血も含め痛いことは行わないこと、必要時抗菌薬・鎮痛剤内服、酸素吸入を行うこととした。鎮痛剤内服したが、もともと苦痛様の表情がなく内服しても変わらないこと、血痰・血尿・下血がみられたことから中止した。呼吸困難にステロイドが著効したため、酸素投与とともに続行した。術後5年8ケ月で亡くなるまで、大部屋で日常の活動に参加し、誕生日を祝い、若い頃好きだった鰻を食べ、お祭りにも車椅子で参加することができた。 まとめ 病棟職員全員を含む多職種が治療方針決定に参加することで、最期まで多くの職員と関わりながら、普段通りに近い生活を送ることができた。 申告すべきCOIはない。

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