P-15-07 重症心身障害児(者)の臼蓋形成に関与する要因について

DOI
  • 井上 奈美
    社会福祉法人 邦友会 国際医療福祉リハビリテーションセンター なす療育園
  • 蒔田 祥子
    社会福祉法人 邦友会 国際医療福祉リハビリテーションセンター なす療育園
  • 倉本A. 亜美
    社会福祉法人 邦友会 国際医療福祉リハビリテーションセンター なす療育園 国際医療福祉大学 保健医療学部 理学療法学科
  • 下泉 秀夫
    社会福祉法人 邦友会 国際医療福祉リハビリテーションセンター なす療育園

書誌事項

タイトル別名
  • −20年の経過からみえたこと−

この論文をさがす

抄録

目的 重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))施設において、重症児(者)の股関節脱臼を目にすることは少なくない。股関節脱臼の最も大きな原因は痙性麻痺による異常筋緊張である。また下肢への荷重経験不足も股関節脱臼の原因のひとつとして挙げられる。本研究では当施設開設20周年の節目に、理学療法プログラムとしての股関節への荷重練習が臼蓋形成に影響するのかについて検証したので報告する。 方法 対象は当施設に入所している重症児(者)19名(男性11名、女性8名)。GMFCSはレベルⅡ1名、Ⅳ2名、Ⅴ16名であった。診断名の内訳はCP(痙直型)7名、CP(混合型)4名、後天的要因による四肢麻痺3名、その他(染色体異常等)5名。入所時平均年齢は6歳6か月、現在の平均年齢は24歳1か月、平均在籍年数は17年7か月。定期的に撮影している単純X線像より臼蓋形成の指標のひとつであるCE角を算出。入所時と比較して現在のCE角が増加した臼蓋形成良好群(11名)と減少した臼蓋形成不良群(8名)の2群に分け、過去の診療録より荷重練習の有無および臼蓋形成経過に影響を与えた要因について検討した。 結果 良好群11名は股関節への荷重練習(膝立ち、立位、歩行)を平均14年4か月間行っていた。不良群8名の内3名は荷重練習を行っていた。その内2名は年々筋緊張が亢進したことが不良の理由のひとつであると考えられた。1名は様々な要因が考えられた。残りの5名は入所時より脱臼を認めていたため、座位等の抗重力姿勢練習を行ってはいたが、今回の意図する荷重練習は行っていなかった。また病態との関係ではCP(痙直型)のみ、不良群が良好群より多かった。 考察 今回の結果より、幼児期から青年期における長期間にわたる股関節への荷重経験と病態の違いが臼蓋形成に影響することが示唆された。荷重経験の重要性が裏付けられたため、今後も重症児(者)に対して積極的に荷重練習を行っていく必要があると考えられた。 申告すべきCOIはない。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ