直接経口抗凝固薬の臨床薬物動態に影響を与える因子の解析と臓器機能障害時の変化に関する考察

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  • Analysis of Factors Affecting the Clinical Pharmacokinetics and Evaluation of Changes Associated with Organ Impairment Resulting from the Use of Direct Oral Anticoagulants

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抄録

現在、心房細動において直接経口抗凝固薬 (DOAC) による抗凝固療法は、ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバンの4医薬品が用いられているが、その薬物動態について、血中非結合形薬物濃度の変化の推定を評価した報告はない。今回、収集したDOACの基本的なパラメータ値から、臓器機能障害時の血中非結合形薬物濃度の変化の推定を行うと共に、血中薬物濃度/効果・作用 (PK/PD) 関係を表すデータも加味して、添付文書用量の妥当性を検証した。 上記4医薬品のうち、体内からの消失経路からは、ダビガトランは腎排泄型、リバーロキサバン、エドキサバンが中間型、アピキサバンが肝代謝型であり、全ての医薬品の臓器クリアランスは消失能依存の特徴を示していた。また、ダビガトランとエドキサバンはbinding insensitiveであり血中総薬物濃度の変化率は血中非結合形薬物濃度の変化率として取り扱える薬剤であり、一方、リバーロキサバンとアピキサバンはbinding sensitiveな薬剤であり、血中総薬物濃度の変化率の値を血中非結合形薬物濃度の変化率に当てはめられない薬剤であると評価できた。 臓器機能障害時の評価において、ダビガトランでは中等度腎機能障害時にAUCが健康成人に比し3.1倍となるため、添付文書において規定されている用量では過量となる可能性があった。一方で、リバーロキサバンは中等度腎機能障害時でAUCpofが1.19倍、アピキサバンは重度腎機能障害でもAUCpofが1.42倍であり、添付文書において規定されている用量では過少投与となる可能性が示唆された。

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