上下肢3か所に多発した腱鞘巨細胞腫の治療経験

抄録

<p>〔はじめに〕腱鞘巨細胞腫は手指に多く発生することが知られているが,多発例の報告は稀である.上下肢3か所に多発した稀な腱鞘巨細胞腫の症例を経験したので報告する.〔症例〕45歳男性で,約4年前に左示指に釣り針が刺さった同時期より左示指,左肘,左膝の腫瘤を自覚した.MRIで3か所とも関節外にT1強調画像で等から軽度高信号,T2強調画像で低信号,造影で不均一に造影される境界明瞭な腫瘤を認めた.左膝腫瘤の切除生検を施行した結果,腱鞘巨細胞腫の診断に至った.生検と画像所見より,多発腱鞘巨細胞腫と判断し,3か所同時に腫瘍摘出術を施行し,最終診断もすべて腱鞘巨細胞腫であった.〔考察〕我々が渉猟しえた限りでは多発例は32報告で,上下肢に及ぶ2か所発生例,3病変の発生例はそれぞれ1例のみであった.本症例は上下肢に及ぶ3病変の多発例であり,稀な症例であると思われた.〔結語〕本症例は再発リスク因子が多く,今後の慎重な経過観察が必要と考える.</p>

収録刊行物

参考文献 (11)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ