サクラの生育不全実生で見られた防御関連遺伝子の高発現

DOI
  • 鶴田 燃海
    国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 東京大学アジア生物資源環境研究センター
  • 練 春蘭
    東京大学アジア生物資源環境研究センター
  • 向井 譲
    岐阜大学応用生物科学部

書誌事項

タイトル別名
  • Up-regulation of defense-related gene expression in the hybrid necrotic seedlings of flowering cherry

抄録

<p>サクラ属の栽培品種‘染井吉野’と野生種エドヒガンとを掛け合わせると、およそ半数の実生が致死的な生育不全となる。この実生の生育不全のメカニズムを明らかにすることを目的に、健全な実生と生育不全の実生とで発現遺伝子の網羅的解析を行った。発現比較解析からは、2,888遺伝子が健全および生育不全の実生間の発現変動遺伝子(DEGs)として同定された。このうち1,044遺伝子が生育不全実生において高発現、1,844が低発現となっていた。生育不全実生で高発現のDEGsには、植物の防御反応と関連した遺伝子が多く含まれていた。GO解析からは、生物的刺激に対する反応(GO:0009607)および防御反応(GO:0006952)等が有意にエンリッチメントされることが示された。生育不全実生の部位別にRNA-seqを行い、先に同定された防御反応関連DEGsの発現部位を調べたところ、いずれの遺伝子も胚軸において発現が高くなっていた。部位ごとのGO解析結果でも、防御反応等のエンリッチメントは胚軸で起きていた。これらの結果から、雑種実生の生育不全は防御関連の遺伝子の主に胚軸における過剰発現により引き起こされたと考察した。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390008613605370240
  • NII論文ID
    130008117692
  • DOI
    10.11519/jfsc.132.0_372
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ