約1世紀ぶりに日本各地で一斉開花期を迎えたタケ類ハチクの繁殖戦略

書誌事項

タイトル別名
  • Reproductive strategy of mass-flowered <i>Phyllostachys nigra</i> var. <i>henonis</i> stands in Japan

説明

<p>ハチクは日本各地で栽培・利用されてきた大型のタケである。長期にわたるクローン成長を経て、約120年に一度、広範囲で同調して開花・結実・枯死することが知られている。明治後期に各地で開花した際には、成熟した種子が見られないなどの興味深い記載が断片的に残っているが、詳細なことはよくわかっていない。約1世紀ぶりの開花期を迎えている現在、ハチクの繁殖戦略を明らかにする絶好の機会である。本研究では、開花様式や種子結実の有無や繁殖器官への資源配分様式や開花後のクローン成長を定量的に評価し、ハチクの繁殖戦略を考察した。調査は2017年に一斉開花の見られた四国から関東地方のハチク林(計5か所)で行った。一斉開花時には、地上部の窒素・リン全量の6割程度が繁殖器官(花)へ分配されたが、成熟した種子や実生は見られず、有性繁殖をできていないことがわかった。開花林内では、開花後、一部に非開花稈が残り、残存した地下茎より高さ1m程度の小さな稈が出現した。以上より、約1世紀ぶりに開花したハチクは、結実に失敗し、繁殖への膨大な資源投資が無駄になっていたが、一部の稈が残存することにより竹林の消滅を回避する戦略をもつことがわかった。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390008613605390080
  • NII論文ID
    130008117827
  • DOI
    10.11519/jfsc.132.0_454
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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