O18-1 頚部深層屈筋トレーニングにより頚部痛が改善した椎弓形成術後早期患者の一症例

DOI
  • 齋藤 香南
    苑田第三病院 リハビリテーション科 苑田会東京脊椎脊髄病センター リハビリテーション科
  • 内藤 小夏
    苑田第三病院 リハビリテーション科 苑田会東京脊椎脊髄病センター リハビリテーション科
  • 古谷 英孝
    苑田第三病院 リハビリテーション科 苑田会東京脊椎脊髄病センター リハビリテーション科
  • 星野 雅洋
    苑田第三病院 整形外科 苑田会東京脊椎脊髄病センター 整形外科

抄録

<p>【背景】圧バイオフィードバック(FB)装置を用いた頚部深層屈筋群(DCF)トレーニングは,頚部痛を軽減させることが報告されている.今回,頚椎術後早期患者の頚部痛に対してDCF トレーニングの効果をAB 法にて検証した.</p><p>【方法】本症例は頚椎症性脊髄症に対し椎弓形成術(第3 から6 頚椎)を施行された入院加療中の50 歳代男性である.術後に術前の頚部痛(椎間関節痛)や上肢痛は改善したが,術後3 週経過時点で僧帽筋上部線維,胸鎖乳突筋,斜角筋に収縮時痛と圧痛を認めていた(VAS79mm).頭部は前方頭位[頭蓋椎骨角(CVA)38.2°,頭蓋回転角</p><p>(CRA)161.1°]を呈していることから,術後に発生した頚部痛は不良姿勢による筋・筋膜性疼痛であると判断した.介入デザインはAB 法を用いた.A 期の介入は,肩甲骨安定化トレーニング,TENS,頚部周囲筋の軟部組織モビライゼーションを実施した.B 期はA 期の介入に加え,圧FB 装置を用いたDCF トレーニングを実施した.介入期間は各時期1 週間,頻度は1 日3 回(1 回1 時間)とした.評価項目は頚部痛VAS,NDI,CVA,CRA,DCF 筋力(CCF</p><p>S),DCF 持久力(CCF-E)とし,評価時期は介入前(A’),A 期終了時(A),B 期終了時(B)とした.VAS とNDI の効果判定には臨床的最小重要変化量(MCID)を用いた.</p><p>【倫理的配慮】ヘルシンキ宣言に基づいて事前に説明を行い,同意を得た上で実施した.</p><p>【結果】VAS[mm](A’:79→A:73→B:3)はB 期でMCID(31mm)を上回る改善がみられた.NDI[%](A’:46→A:37→B:31) はAとB期ともに改善を認めたがMCID(15%)を上回る改善はみられなかった.CVA[°](A’:38.2→A:46.0→B:47.4),CRA[°] (A’:161.1→A:153.9→B:149.7)はどちらもA とB 期ともに改善を認めた.CCF-S[mmHg] (A’:26→A:26→B:28),CCF-E[回] (A’:2→A:3→B:7)はどちらもB 期で改善を認めた.</p><p>【結論】頚椎術後早期患者の残存した頚部痛には,不良姿勢の改善だけでなく,DCF の筋機能に対する介入も加えて実施する必要がある.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390008754689840896
  • NII論文ID
    130008121400
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.40.0_96
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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