O23-1 外来心臓リハビリテーションを開始し、社会参加を達成した修正大血管転位症の遠隔期重症心 不全症例

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抄録

<p>【はじめに】先天性心疾患に対する運動療法に関する報告は少なく、体心室右室(sRV)に対する効果も不明な点が多い。sRV 機能不全による修正大血管転位症(ccTGA)の遠隔期重症心不全症例に行動変容の視点から心臓リハビリテーション(CR)を実施し、著明な効果を得られたため報告する。</p><p>【症例紹介】20 歳男性。診断名:ccTGA、肺動脈閉鎖、心室中隔欠損、卵円孔開存、完全房室ブロック。既往歴:Rastelli 手術(5 歳)、三尖弁置換術・ペースメーカー挿入(15 歳)。成人期移行医療のため当院紹介、外来CR を開始。</p><p>【経過】NYHA 分類III 度。握力:22.3/22.2kg、体重比膝伸展筋力:33.0/32.6%。AT:11.1ml/min/Kg(3.2METs・</p><p>57%)。peak V’O2:13.1ml/min/Kg(3.7METs・36%)。日常生活:たまに徒歩3 分のコンビニに外出する。行動変容:無関心期。心疾患のため活動を控えていた。親も運動への不安が強かった。週2 回ストレッチ、自転車エルゴメーター、低強度レジスタンストレーニングを実施した。当初、本人は通院する必要性を感じていなかったが、継続するよう親にも説明を行った。次第に、同年代の医療スタッフと会話する中で、これまで経験していないことに興味を持つようになった。</p><p>【結果】9 か月後、NYHA 分類I 度、握力:29.0/25.5kg、体重比膝伸展筋力:48.0/48.8%。AT:16.3ml/min/Kg</p><p>(4.7METs・84%)、peak V’O2:19.7ml/min/Kg(5.6METs・54%)へ改善した。日常生活:週2 回仕事(デスクワーク)。</p><p>行動変容:維持期。テーマパークに行ってみたいなど目標が決まった。</p><p>【考察】重症心不全のccTGA・sRV に対し、CR を開始したことで運動耐容能は改善し、社会参加に至った。これまで保護的な生活で不自由さを感じていないため、CR の動機付けが難しかったが、親の協力により運動機会を設けたこと、目標を一緒に考えたことで行動変容を促したと考えられる。</p><p>【倫理的配慮】ヘルシンキ宣言に基づき、口頭にて説明し同意を得た。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390008754690520704
  • NII論文ID
    130008121249
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.40.0_121
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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