P5-4 ストレッチポールの使用により胸郭拡張差が改善し、心不全増悪を抑制できた症例

DOI
  • 藤井 大輔
    IMS〈イムス〉グループ イムス板橋リハビリテーション病院 リハビリテーション科
  • 山本 智史
    IMS〈イムス〉グループ イムス板橋リハビリテーション病院 リハビリテーション科

抄録

<p>【はじめに】呼吸器疾患は、右心不全を併発し、心不全を助長する可能性がある。近年、ストレッチポール(以下SP)での介入による呼吸機能の向上が報告されており、今回COPD と心不全急性増悪後の症例に対して、通常の呼吸リハとSP を併用して介入した。その結果、呼吸機能の向上を認め、右心不全を再発せず退院となったため報告する。</p><p>【方法】対象はCOPD と心不全の急性増悪により入院した70 歳代男性。前院入院中にABC アプローチと利尿剤治療等で、COPD と心不全寛解。利尿剤off となり、リハビリ目的に当院に転院した。転院後、徐々に呼吸困難が出現し心不全の増悪を認めた。その後、利尿剤治療で心不全は寛解した。 寛解後評価では、Nohria-Stevenson 分類B。CTR57%。左胸水少量。MRC 息切れスケールGrade4。胸郭拡張差:剣状突起レベル1.0cm。cough peak flow</p><p>(以下CPF):200m/Lin。10m 歩行後の所見:呼吸数24 回(呼吸苦+)、頸静脈怒張(+)、SpO291%、胸鎖乳突筋・斜角筋の収縮あり。ROM:胸腰部伸展0°、肩甲帯下制0°であった。理学療法では通常の呼吸リハと胸郭の柔軟性改善を目的にSP を使用した。</p><p>【説明と同意】対象にはヘルシンキ宣言に則り本発表の旨を説明し、同意を得た。</p><p>【結果】Nohria-Stevenson 分類A。CTR55%。胸水なし。MRC 息切れスケールGrade4。胸郭拡張差:剣状突起レベ</p><p>ル2.2cm。CPF:240m/Lin。10m 歩行後の所見:呼吸数19 回(呼吸苦-)、頸静脈怒張(-)、SpO297%、胸鎖乳突筋・斜角筋収縮なし。ROM:胸腰部伸展5°、肩甲帯下制10°。心不全増悪無く独歩での自宅退院となった。</p><p>【考察】今回、通常の呼吸リハとSP での介入を併用したことで、胸郭拡張差が改善し、換気効率の向上を認めた。SP を使用した先行研究では、胸郭拡張機能改善の効果が報告されている。本症例においても胸郭の柔軟性が改善し、それに伴い換気能力が向上したことで、心不全増悪無く独歩での自宅退院可能になったと考える。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390008754690521856
  • NII論文ID
    130008121259
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.40.0_149
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ