P16-2 橈骨遠位端骨折後の著明な掌屈制限に対してフロスバンドを用いた運動療法が有効であった一 症例

  • 市川 晋也
    葛西整形外科内科
  • 兎澤 良輔
    葛西整形外科内科 了徳寺大学健康科学部理学療法学科 千葉大学大学院医学薬学府先進予防医学共同専攻
  • 源 裕介
    了徳寺大学健康科学部理学療法学科 千葉大学大学院医学薬学府先進予防医学共同専攻

説明

<p>【はじめに】今回、橈骨遠位端骨折後重度拘縮例の治療を経験した。特に掌屈制限が著明で治療に難渋していたが、皮下と浅筋膜の間の滑走改善効果が期待できるフロスバンドを用いたところ,短期間で関節可動域(以下ROM)の改善が認められた。これらの経過を若干の考察を加え以下に報告する.</p><p>【症例紹介】本症例は70 歳代女性である.自転車で転倒し左橈骨尺骨遠位端骨折と診断された。手術は掌側プレート固定を実施した.術後リハビリテーションは未実施であった。術後から約5 ヶ月後に当院にリハビリテーション目的で来院し、同日リハビリテーション開始となった。</p><p>【理学所見】左手関節のROM(他動のみ)は掌屈20°,背屈50°,橈屈10°,尺屈25°で、掌屈に著明な制限が確認された。手関節の動作時痛は確認されなかった。手根骨~橈骨遠位の背側の皮下の滑走が健側と比較して骨折側で著しく低下していた。</p><p>【倫理的配慮】対象者にはヘルシンキ宣言に則って発表の目的や内容を口頭で十分に説明し,書面にて同意を得て実施した.</p><p>【介入内容と結果】フロスバンドは幅が2.5cm のサンクトバンド社製COMPRE FlossTM を用いた。方法はサンクトバンド社のマニュアルに沿って手指~手関節にかけて巻き,他動および自動での掌屈・背屈・橈屈・尺屈・回内・回外運動を2 分以内で実施した.2 週間計5 回介入した結果は,掌屈が20°改善(20°→40°)と短期間で良好な結果が確認された.</p><p>【考察】掌屈が著明に制限されている場合は、伸張される側である背側の皮下の滑走低下が主な要因となる.フロスバンドの目的は、ゴムで圧迫した状態での関節運動で皮下と浅筋膜の間の剪断力を生むことである。長期不動で同部位に滑走低下を生じると可動域改善に難渋する可能性が高い。しかし今回の結果から、フロスバンドを用いることで同部位の短期間での滑走改善が生まれ、その結果著明な掌屈制限の改善に繋がったと考えられた。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390008754690534656
  • NII論文ID
    130008121368
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.40.0_199
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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