アクチンタンパク質のテラヘルツ波による構造操作

  • 山崎 祥他
    国立研究開発法人理化学研究所 光量子工学研究センターテラヘルツイメージング研究チーム

書誌事項

タイトル別名
  • Structural manipulation of actin proteins by terahertz waves
  • アクチンタンパクシツ ノ テラヘルツハ ニ ヨル コウゾウ ソウサ

この論文をさがす

抄録

<p>アクチンは細胞内に存在する主要なタンパク質の1つであり,重合反応によって繊維構造を形成する.アクチン繊維は,細胞の骨格として細胞形態を維持する役割をもち,さらに皮膚の傷が治る過程(創傷治癒)における細胞の移動や,がん細胞の浸潤・転移などにも中心的な役割を果たす.また,DNAの格納領域である細胞核では,アクチン繊維が遺伝子の発現機能を制御し,遺伝子初期化(万能細胞形成)にも関与することが知られている.本稿では,アクチンが繊維構造を形成する重合反応の過程でテラヘルツ(THz)波を照射し,その影響を観察した.その結果,THz波の周波数・発振方式によってアクチン繊維の形成を促進,または破壊することに成功した.これらの作用は,THz波を利用した新たな細胞機能の操作技術へつながることが期待される.本研究はTHz波を計測のために用いるのではなく,物質の操作に利用する点で,新たなTHzの可能性を拓(ひら)くものである.これらのTHz波照射によるアクチン繊維操作について紹介する.</p>

収録刊行物

  • 応用物理

    応用物理 90 (12), 748-751, 2021-12-01

    公益社団法人 応用物理学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ