市町村における地域の児童虐待予防と対応のしくみの課題と展望

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タイトル別名
  • Child abuse prevention and response systems in local governments in Japan
  • 市町村における地域の児童虐待予防と対応のしくみの課題と展望 : 公衆衛生学アプローチと包括ケアシステムとの融合
  • シチョウソン ニ オケル チイキ ノ ジドウ ギャクタイ ヨボウ ト タイオウ ノ シクミ ノ カダイ ト テンボウ : コウシュウ エイセイガク アプローチ ト ホウカツ ケア システム ト ノ ユウゴウ
  • challenges and prospects from the perspective of integrating public health approaches and integrated care systems
  • 公衆衛生学アプローチと包括ケアシステムとの融合

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説明

<p>近年の児童虐待報告件数の増加や子どもの死亡事例は,公衆衛生および福祉へのインパクトは大きく,社会の課題となっている.昨今,児童福祉法および関連法の改定が続き,特に平成28(2016)年の改定では,市区町村の児童虐待予防および子育て支援の中心として,子育て世代包括支援センターや子ども家庭総合支援拠点の整備が明記された.現在,全国の自治体は,それらの整備に着手しているものの,それらの機能や役割を明確にできないことなどの理由のために,その設置には多くの課題がみられる.</p><p>児童虐待に関しては,2000年代以降,事後の対応から予防を中心に据えた公衆衛生学的アプローチにシフトし,世界的にも児童虐待の現状把握,そのリスク要因,保護要因,虐待の影響,予防戦略のエビデンスが構築されてきた.また児童虐待予防に対しても,1次予防から 3 次予防までのレベル別アプローチが提唱された.そして,構築されたエビデンスをもとに,アプローチ方法を実践するために,包括的なケアやシステムアプローチをとる必要性も示されている.</p><p>日本では,平成18(2006)年以降,高齢者を対象に包括的ケアの提供を「地域包括ケアシステム」として実施してきたが,その構築では,介護(福祉)と保健(公衆衛生)の統合の失敗も指摘されている.児童虐待予防のためのしくみづくりにおいて,包括的ケアの理論と「地域包括ケアシステム」の経験の学びから,包括的ケアシステムを構築する目的は何か,どのような型の統合を目指して,何と何を統合するのか,それらを意識して,しくみ構築を進める必要があり,近い将来,それらの好事例が登場することを期待したい.</p>

収録刊行物

  • 保健医療科学

    保健医療科学 70 (4), 385-393, 2021-10-29

    国立保健医療科学院

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