対処資源の喪失が日本人大学生と留学生の精神的健康へ及ぼす影響―多母集団同時分析によるストレス理論モデルの検討―

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  • Influences of Loss of Coping Resources on the Mental Health of Japanese and International University Students

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抄録

<p>本研究は,ストレッサーへの対処資源の喪失が大学生と留学生の精神的健康に及ぼす影響を探るため,Lazarus & Folkman (1984),Antonovsky (1987),Hobfoll (1989) のストレス理論に基づいたモデルA(資源喪失→コーピング→ストレス度→精神的健康),B(資源喪失→首尾一貫感覚[SOC]→精神的健康),C(資源喪失→精神的健康)のうち支持されるモデルを検討した。日本人大学生120名と留学生61名に質問紙調査を実施後,多母集団同時分析を行った。両群において個人的資源喪失からSOCへ負の影響(β=-.50,p<.001;β=-.43,p<.001)を,SOCから精神的健康へ正の影響(β=.50,p<.001;β=.46,p<.001)を示し,日本人大学生群において社会的およびエネルギー的資源喪失からSOCへの負の影響(β=-.36,p<.001;β=-.29,p<.001),SOCから精神的健康への正の影響(β=.54,p<.001;β=.52,p<.001)が見られ,モデルBが支持された。物質的資源喪失は両群共にいずれのモデルも不支持であった。これにより,特に個人的資源の喪失が大学生・留学生のSOCを低下させ,それが精神的健康にもネガティブな影響を与える可能性が示唆された。</p>

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