日本人小児における成長曲線の検討

  • Higashimori Mitsuo
    アストラゼネカ株式会社サイエンスエネーブルメント部
  • Ueda Shinya
    アストラゼネカ株式会社サイエンスエネーブルメント部
  • Fujine Kiyotaka
    アストラゼネカ株式会社サイエンスエネーブルメント部

Search this article

Description

<p>【目的】小児用量は体格差に基づいて設定されるが、使用可能な製剤の制限や処方の簡便性から、体格やその代替えである年齢の刻み幅に対して固定用量を設ける場合もあり、pharmacometricsによる議論が欠かせない。その際、成長曲線のモデル式が必要となるが、日本人小児の身長及び体重の視覚的な成長曲線又は年齢ごとの要約統計量を示した文献は多いものの、数学的なモデル式は限られている。また、体表面積(BSA)については情報が著しく少ない。</p><p>【方法】一般社団法人人間生活工学研究センター、独立行政法人製品評価技術基盤機構及び一般社団法人日本機械工業連合会が保有する0~20歳の日本人(男性:8318例、女性:8449例)の年齢、性別、身長及び体重データを解析に用いた。性別ごとに身長及び体重の各々について、年齢を説明変数とするlogistic成長曲線又はGompertz成長曲線に当てはめた。身長と体重の相関を考慮し、残差の分散共分散行列を求めた。構築したモデルに基づいて仮想小児10000例の身長及び体重を発生させ、BSAをDuBois式により算出した。予測成長曲線を身長、体重及びBSAの実測値と比較した。また、BSAの実測値に対して成長曲線を直接当てはめた予測結果と比較した。</p><p>【結果・考察】身長、体重及びBSAのいずれも、実測値の大部分は90%予測範囲内に含まれ、両成長曲線による予測に大きな違いは認められなかった。体重と身長の相関を無視した場合は、BSAの90%予測範囲はやや狭く、集団分布を十分に再現できていない可能性が示唆されたが、相関を考慮するとBSAの実測値に成長曲線を当てはめた場合と同程度となった。身長と体重の相関を考慮して体重とBSAを適切に関連付ける成長曲線モデルを構築したことで、仮に母集団解析でBSAが共変量となった場合においても、年齢や体重に基づく用量設定を提案できるなど、より柔軟な考察が可能になると考えられた。</p><p>【結論】日本人小児における身長と体重の相関を考慮したモデルの構築により、BSAについても適切な分布を持ったシミュレーションデータを発生することができた。今後の小児を対象とした臨床試験へのpharmacometricsの活用が期待される。</p><p>【参考文献】Viera S and Hoffmann R. Appl Statist. 1997:26(2), 143-148</p>

Journal

Details 詳細情報について

Report a problem

Back to top