経鼻内視鏡・開頭同時手術により摘出した蝶形骨洞髄膜脳瘤例

  • 孔 憲和
    新潟大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科 魚沼基幹病院耳鼻咽喉科
  • 佐々木 崇暢
    新潟大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 新堀 香織
    新潟大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 堀井 新
    新潟大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科

書誌事項

タイトル別名
  • Combined Endonasal Endoscopic and Microscopic Surgery for Asymptomatic Sphenoid Sinus Meningoencephalocele

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抄録

<p>髄膜脳瘤とは頭蓋骨欠損部より髄膜や脳実質が頭蓋外に脱出する疾患である。今回われわれは,経鼻内視鏡・開頭同時手術により摘出した蝶形骨洞髄膜脳瘤例を経験したので報告する。</p><p>症例は73歳女性。近医で脳動静脈奇形の経過観察中,頭部CT(Computed Tomography)で左蝶形骨洞に長径8 mm大の骨欠損を伴う軟部陰影を認め,左蝶形骨洞腫瘍疑いで当科紹介となった。頭部MRI(Magnetic Resonance Imaging)で左側頭葉から左蝶形骨洞内に連続する脳実質と等信号の病変と,その周囲に髄液と等信号の領域を認め,髄膜脳瘤と診断した。無症候性だが,髄液鼻漏や髄膜炎の危険性を考慮し根治手術の方針とした。</p><p>手術は経鼻内視鏡・開頭同時手術とした。内視鏡下鼻副鼻腔手術により蝶形骨洞を開放し,蝶形骨洞側窩天蓋の骨欠損部(Sternberg’s canal)から連続する髄膜脳瘤を確認した。蝶形骨洞内に連続する脳瘤を中頭蓋窩で切断し,鼻内から脳瘤を摘出した。骨欠損部は頭蓋側からの多層再建をした。術後1年現在,再発なく経過している。</p><p>近年,髄膜脳瘤に対し鼻内操作単独での治療報告が増加してきているが,本症例は脳動静脈奇形による頭蓋内圧亢進が考えられたこと,骨欠損が比較的大きいこと,内視鏡下頭蓋底手術の経験が乏しかったことから鼻内操作単独では骨欠損部の閉鎖が困難と予想した。今回,安全で確実な手術を目的として経鼻内視鏡・開頭同時手術を選択した。</p>

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参考文献 (11)*注記

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