小学校体育「剣の試合」の試行的実践

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抄録

<p>小学校の体育科の内容には、一対一で対峙し、相手の身体を直接打ったり、相手を投げたりして戦う、剣道や柔道、相撲などのような身体接触を前提とする競争種目は取り扱われない。小学校学習指導要領解説(2017)の「体つくり運動」の「力試しの運動」には「押し合いずもう」が例示されているが、この運動は相手を押したり、相手に押されないように踏ん張ったりする力を試し合うことを目的としており、勝敗を競い合うことが目的ではない。つまり、子どもたちは小学校段階で、身体接触を前提とする競争種目を経験する機会がないのである。</p><p> しかし、剣道のように相手を打ったり、相手に打たれたりし、痛みを伴いながらも冷静になってお互いに礼をするという経験は、相手を尊重する態度を学ぶことができると考える。また、森(2020)は、相手との接触をともなう攻防が前提とされる武道の学習が中学校からの経験では遅いことを指摘し、小学校段階で運動経験から感情的な軋轢を処理する方法を学ぶことの必要性を述べている。つまり、小学校段階で身体接触から生じた痛みを伴いながらも冷静になってお互いに礼をするという経験をすることは、相手を尊重することや感情をコントロールすることを学ぶ機会となるのではないかと考える。</p><p> そこで、本研究では小学校4年生にウレタン製の剣を使って、「剣の試合」を試行的に実施した。剣で直接体を打ち合う試合の中で、子どもたちはどのようなことを考え、何を悟るのかを探索し、小学校段階で身体接触を前提とする種目を取り扱うことの可能性を検討した。本発表では、実践の中で出現した子供の動きや実践を通して子供が考えたことや悟ったことから考察したことを報告する。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390009062455507712
  • NII論文ID
    130008137413
  • DOI
    10.20693/jspehssconf.71.0_458
  • ISSN
    24367257
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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