内視鏡的総胆管結石除去術を契機に出血を来した胆管静脈瘤の1例

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タイトル別名
  • Bleeding from biliary varices caused by therapeutic ERCP with alcoholic cirrhosis patient
  • 症例報告 内視鏡的総胆管結石除去術を契機に出血を来した胆管静脈瘤の1例
  • ショウレイ ホウコク ナイシキョウテキ ソウタンカン ケッセキ ジョキョジュツ オ ケイキ ニ シュッケツ オ キタシタ タンカン ジョウミャクリュウ ノ 1レイ

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抄録

<p>アルコール性肝硬変Child-Bのため当院通院中の65歳男性.肝内胆管拡張を伴う高度の黄疸を認めたため同日ERCPを行った.総胆管結石を認めESTを施行したが,出血が多く一期的結石除去は断念し,10Frのプラスチックステントを留置し減黄を図った.第7病日にERCPを再施行し結石除去を行いIDUSにて残石のないことを確認しENBDチューブを留置した.しかし留置直後から出血が続くため,チューブステントを再留置した.その後も貧血が徐々に進行し,第11病日にERCP再検しステントの傍からの出血が確認できた.圧迫止血目的にファーター乳頭部に金属ステントを留置したところ,逆に大出血を来した.改めて画像を再確認したところ,造影CT画像では門脈本幹は血栓で閉塞し胆管表面に血管走行が確認できた.IDUS画像では胆管に接して血管が数条走行していた.また,経鼻胆管チューブ造影画像では総胆管周囲の側副血行路の造影が疑われた.以上より,胆管炎による胆管壁の脆弱化に結石除去の機械的操作が加わり胆管表面の静脈瘤の出血を誘発したと考えられた.中部胆管に金属ステントを追加留置し止血を得たが,肝不全が進行し第43病日に死亡した.死後剖検を行ったが,ステント挿入部の静脈瘤の確認は困難であった.胆管静脈瘤は稀で,本症例の如く緊急で処置を要する場合の治療法選択は困難であるが,肝硬変がある場合にはその存在を念頭において治療に臨まなければならない.</p>

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