進歩主義教育思想と幼稚園の物理的環境

書誌事項

タイトル別名
  • A successful architectural embodiment of the philosophy of progressive education
  • A successful architectural embodiment of the philosophy of progressive education : The 1929 Cronk Memorial Kindergarten in Kumamoto
  • The 1929 Cronk Memorial Kindergarten in Kumamoto
  • クロンク記念幼稚園の場合

この論文をさがす

抄録

幼児教育のための物理的環境は、より良い教育実践のために教育思想を物理的環境に具体化すると同時に、主たるユーザーである子どもと物理的環境の相互交渉により、子どもの発達を援助する環境でなければならないであろう。本研究は、米国の進歩主義教育を導入したクロンク幼稚園(1929年築、現・神水幼稚園、熊本市)の園舎において、進歩主義教育思想がどのように具体化され、子どもの発達を援助する物理的環境(園舎・設備・家具・道具)が実現していたかを明らかにすることを目的とした。本園舎は、コロンビア大学のヒル(Patty S. Hill)の下で進歩主義幼児教育を学び、来日した宣教師パウラス(Annie P. Powlas)と米国で教育を受けた建築家・川崎忍が協働し、設計された。進歩主義幼児教育とは、子どもを尊重する児童中心の教育思想であり、民主主義社会の市民となるよう子どもを教育することを特徴としていた。設計当時の平面図や現地での実測調査で得た資料等を分析した結果、園舎は①子どもサイズが徹底され、②ヒルが考案した大型積木での集団遊びを可能にするために、大空間の保育室を実現するとともに、③社会での役割を学ぶために重視されたままごと遊びのために、ままごとの家が設置され、④保育室に保育者養成課程の学生が子どもを観察するためのギャラリーが設置されていたことを明らかにした。最後に、今後の課題について議論した。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ