ヒト、ウサギ及びサルの房水組成に関する情報集約

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  • Compiling information on the compositions of aqueous humor in human, rabbit, and monkey

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抄録

<p>房水は眼房を満たしている透明な液体であり、眼圧の維持や、無血管組織である角膜、水晶体への栄養供給等を担っている。ヒトを含めた動物の房水組成に関する情報は、眼科領域の医薬品や医療機器開発において有用であるが、その情報は散在している。今回、房水組成及び血液組成について文献等からの情報を集約した。調査対象の動物種は、眼科領域の非臨床試験で汎用されるウサギ及びサル(マカク属のアカゲザルやカニクイザル)並びにヒトとした。</p><p>本調査では、タンパク質、アミノ酸、糖質を含む低分子有機成分、ビタミンや電解質といった約60の成分について房水中及び血液中濃度情報を収集した。このうちヒト、ウサギ及びサルのすべての情報が得られた成分数は約半数の26であった。各成分の測定年代・測定方法が異なっているため厳密な比較には限界があるものの、房水−血液間や動物種間で一定の傾向がみられた。房水中のタンパク質濃度は血液中に比べて低いが、タンパク組成中のアルブミンが占める比率は房水と血液に共通して高かった。房水中のアスコルビン酸の濃度は、今回調査した動物種では共通して、血液中濃度に比べて高かった。房水中の電解質濃度に種差はみられず、血液中濃度との間にも大きな差はみられなかった。</p><p>本調査で集約した情報は、房水成分の特徴の把握や、種差を考える上での基礎情報となる。房水組成及びその種差を知ることは、眼球の病態生理の研究や、眼科用の医薬品・医療機器及び再生医療の研究開発において有用と考えられる。</p>

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