抄紙工程における歩留剤,濾水剤の役割

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タイトル別名
  • Roles of Retention and Drainage Aids in Papermaking Process
  • ショウシ コウテイ ニ オケル ブドマリザイ,リョスイザイ ノ ヤクワリ

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抄録

<p>抄紙工程薬品である歩留剤,濾水剤は紙料の歩留や濾水性を向上させることで,紙の品質向上や生産性向上,トータルコスト削減,ワイヤーやフェルトの寿命延長,排水負荷低減等,様々な効果・メリットをもたらす薬品である。これらの薬品の役割は紙の中性抄紙化や古紙配合率の増加,填料の高配合化によって紙料中の微細繊維や無機分が増加傾向になるに伴い,ますます重要となってきた。</p><p>歩留剤,濾水剤は主にイオン間の相互作用によって繊維や填料を凝結・凝集させ,効果を発揮する。ただし,単純に凝集力を強化するだけではフロックは粗大化し,地合い悪化や紙力低下,また搾水性悪化を引き起こすため,適した薬品やシステムが必要となる。中でも水溶性合成高分子であるポリアクリルアミド系薬品は分子量やイオン性,電荷密度の調整が可能であり,代表的な薬品の1つである。</p><p>歩留剤,濾水剤の技術は中性抄紙化,抄紙機の高速化,クローズド化に対応するために,2液システムの開発,また様々な薬品設計の工夫・改良がなされ,発展してきた。しかし近年は高い古紙利用率に加え,低品質原料の利用によって汚れが増加し,歩留や濾水性が低下している。また紙が軽量化することにより紙質への要求も厳しくなっている等,複雑で難しい課題が増加している。弊社では特殊ピッチコントロール剤と歩留濾水剤の併用システムや,独自のセレクション技術を導入した歩留剤を開発し,上述の課題解決に取り組んでいる。</p>

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 75 (10), 891-896, 2021

    紙パルプ技術協会

参考文献 (5)*注記

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