母親の育児不安と双生児の精神運動発達との関連性の検討 双生児と単胎出生児との比較から

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タイトル別名
  • PARENTING ANXIETY AND CHILDHOOD DEVELOPMENT OF TWINS AS COMPARED TO SINGLETONS
  • ハハオヤ ノ イクジ フアン ト ソウセイジ ノ セイシン ウンドウ ハッタツ ト ノ カンレンセイ ノ ケントウ ソウセイジ ト タンタイシュッショウジ ト ノ ヒカク カラ

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説明

目的 育児不安は順調な母子関係の発達を妨げ児童虐待の大きな要因となることが考えられており,近年育児不安への関心は高まっている。なかでも双生児の母親は育児の身体的負担や疲労感が大きいと報告されている。本研究では,双生児の母親は単体出生児の母親に比べて育児不安が高いのかについて調べること,母親の育児不安と児の精神運動発達との関連性を検討することを目的とする。<br/>方法 双生児の母親については,2005年 3 月~同 5 月の期間において 0 歳から 2 歳の双生児を持ち,近畿圏にある17か所の育児サークルを利用する者218人に,無記名の自記式質問紙を配付した。218人のうち調査協力に同意した124人(回収率56.9%)の母親から回答を得たのち,分析対象は脳性麻痺であった児を持つ母親等を除く119人(有効回答率96.0%)とした。単胎出生児については,同期間において近畿圏の 4 か所の保育園を利用する者と 2 か所の乳幼児健診に集まった者348人へ,無記名の自記式質問紙を配付した。このうち調査協力の得られた101人(回収率28.1%)から回答を得た。分析対象は双生児 1 人と 3 歳児であった 3 人を除く97人(有効回答率96.0%)とした。質問紙の内容では,育児不安の操作的定義を「子ども総研式・育児支援質問紙」にあげられる育児困難感とした。発達の指標には,「津守・稲毛式乳幼児精神発達質問紙」の内容を用いた。<br/>結果 1. 双生児と単胎出生児との比較では,1,2 歳の双生児の母親の方が育児への困惑を表す「育児困難感I」,子どもへのネガティブな感情を表す「育児困難感II」ともに合計得点が高かった。<br/> 2. ロジスティック回帰分析の結果,0 歳,1 歳の双生児と単胎出生児では育児不安と精神運動発達との関連はみられなかったが,2 歳の双生児において子どもへのネガティブな感情を示す「育児困難感II」が高いことと児の精神運動発達が遅れることに関連性がみられた。<br/>結論 2 歳の双生児をもつ母親において,育児不安の中でも「育児困難感II」と児の発達とに関連がみられたことから,育児に対する自信のなさや心配感というよりも母親の精神的に追い詰められている状態が子どもとの関わりの質に影響すると考えられる。育児不安は単に母親の問題だけではなく子どもの発達を促すためのよい環境とはいえないという点で,とくに双生児を持つ母親において重要な問題であることが明らかとなった。

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