『おくのほそ道』における漢詩の考察 ――平泉の章――

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タイトル別名
  • 『 オク ノ ホソミチ 』 ニ オケル カンシ ノ コウサツ : ヒライズミ ノ ショウ

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抄録

本稿では『おくのほそ道』の平泉の章に於いて、杜甫の『春望』を踏まえている「国破れて山河あり、城春にして草青みたり」の諸外国語への翻訳文を比較し分析した。『おくのほそ道』の野坡本、曾良本、柿衞本及び西村本、これらの四つの原本を分析し、野坡本の「城春にして青〻たり」から柿衞本の「城春にして草青みたり」に至る補筆訂正は、芭蕉が句文の推敲を重ね、内容・表現上の様々な工夫をこらしたものであることを確認した。『春望』についての解釈を調べたところ、東洋の自然観が中国と日本の場合に、違いがあることが判明した。『春望』の「草木深し」を芭蕉が「草青みたり」に換えたことによって、『春望』の「詩的表現」は変わった。「城春にして草青みたり」の「草青みたり」についての先行研究の論点をまとめ、「草青みたり」の意味について考察した。

収録刊行物

  • 言語と文明

    言語と文明 11 73-93, 2013-03-30

    麗澤大学大学院言語教育研究科

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