スチューデント化された範囲を用いるTukeyの多重比較の方法の呼称について

書誌事項

タイトル別名
  • About the Name Referred as Tukey's Procedure of Multiple Comparison Using Studentised Range

説明

現在,Tukey の多重比較の方法は,WSD とも HSD とも呼ばれている.本報では,成書や学術論文,および,インターネット公開情報等の文献を調査し,WSD と HSD を巡る混乱の状況を明らかにすることを試みた.<BR>  調査の結果,1960 年以前の初期の文献には「Tukey の方法」のように書いてあるものが多いが,1960 ~ 1980 年の文献には WSD と書いてあるものが多く,1980 年以降の文献にはHSD としているものが多いということが窺えた.<BR>  さらに,初期には,WSD,HSD,Tukey 法が同じであり,Tukeya 法であるとされていた.その後,HSD が Tukeya 法,WSD が Tukeyb 法とされはじめた.Tukeyb 法を始めに提案したのは Tukey 自身とする文献もあるが,誰が,いつ,WSD と HSD を使い分けようとしたのかについてまでは詳らかにできなかった.後世の人が種々の文献をそのまま引用することで,混乱しているだけかもしれない.<BR> 経緯はどうであれ,両者は区別されるべきではなく,もともとは WSD と称されていたと思われる.できれば呼称も WSD に統一するのが好ましいと結論する.<BR> 本論文で WSD と HSD を巡る状況を整理したことにより,実務家が Tukey の多重比較法を利用しようとするに際し,生じ得る無用の困惑を避けることができれば幸いである.

収録刊行物

  • 品質

    品質 47 (1), 93-96, 2017-01-15

    一般社団法人 日本品質管理学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390009224474978304
  • DOI
    10.20684/quality.47.1_93
  • ISSN
    24321044
    03868230
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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