"電脳村"に見る地域参画型農山村観光の胎動 : 富山県山田村の事例から

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タイトル別名
  • Emergence of Region-Participational Green Tourism in the "Cyber Village" : A Case of Yamada Vill., Toyama Pref.
  • デンノウムラ ニ ミル チイキ サンカクガタ ノウサンソン カンコウ ノ タイドウ トヤマケン ヤマダムラ ノ ジレイ カラ

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説明

一九九六年の夏、それまで北陸の一小村に過ぎなかった山田村は、全村の約七割の家庭にパソコンを無料貸与し、“電脳村” “インターネットによる村おこしの里”としてにわかに脚光を浴びた。全国からマスメディアや行政関係者、研究者らが同村を訪れ、地域情報化、あるいは情報化を通じた地域活性化の先端事例としての評価が固められつつある。しかし本稿では、情報化という視点をひとまず括弧に入れ、観光という切り口から、山田村で生じている新たな動向をとらえなおしてみたい。主な検討対象となるのは、学生ボランティア・グループによる地域支援イベント「電脳村ふれあい祭」である。その三年間にわたる歩みから観察されるのは、強い目的意識から始まった活動が、農山村観光(グリーン・ツーリズム) の方向へとゆるやかに移行してゆく過程であった。筆者はここに、ホストとなるコミュニティへの深いコミットメントに基づく、地域参画型農山村観光のプロトタイプを見る。今日、全国の多くの地域で農山村観光振興への模索が行われているが、それを平板な消費的観光の枠組にとどめるのではなく、地域活性化へと有機的に結びつける上でも、ゲスト側の地域参画動機を高める工夫をすることには意味があると思われる。

収録刊行物

  • 年報人間科学

    年報人間科学 21 41-55, 2000

    大阪大学人間科学部社会学・人間学・人類学研究室

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