Representations of Ruins and Abandoned Places in Japanese Subcultures in the 1980s

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  • 1980 年代の日本のサブカルチャーに現れた「廃墟」や「遺棄された場所」のイメージ

Abstract

「レトロブーム」とともに人気を博した丸田祥三の廃墟・廃線写真集『棄景』シリーズ、最終戦争後の荒廃した未来都市を舞台とする大友克洋の漫画『AKIRA』(1982年〜)、根岸競馬場跡の廃墟での撮影を含むミュージックビデオ『A Y.M.O. FILM PROPAGANDA』(1984年)、廃工場を舞台背景とした東京グランギニョルやBIS-SEAL-PISHOPの演劇(1985-87年)、都市の中の廃墟とそこに集う「棄民」的な人々を描いた映画である山本政志監督『ロビンソンの庭』(1987年)や松井良彦監督『追悼のざわめき』(1988年)、取り壊し中の建築物を被写体とする宮本隆司『建築の黙示録』(1988年)、スクラップと身体が融合するイメージを扱った三上晴子の作品群や塚本晋也監督『鉄男』(1989年)など、1980年代の日本では、とりわけサブカルチャーの領域を中心に、「廃墟」、「遺棄された場所」、「スクラップ」というテーマが特徴的に現れ出る。そこには、長い伝統を持つ西洋の廃墟愛好や廃墟表象とは異なる時代性が刻印されている。それは、1980年代における核戦争の脅威、高度経済成長終了後の産業構造と労働市場の変化、バブル期の開発による都市のラディカルな変貌、それらがもたらす人間の棄民化、身体の廃墟化である。本稿では、1980年代の「廃墟、遺棄された場所、スクラップ」の系譜をたどりつつ、1980年代固有の都市の態様と、人間の身体が置かれた状況とを明らかにしてゆく。

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