4ステップコーディングによる質的データ分析手法SCATの提案 ―着手しやすく小規模データにも適用可能な理論化の手続き―

書誌事項

タイトル別名
  • SCAT A Qualitative Data Analysis Method by Four-Step Coding : Easy Startable and Small Scale Data-Applicable Process of Theorization
  • 4 ステップコーディング ニ ヨル シツテキ データ ブンセキ シュホウ SCAT ノ テイアン チャクシュ シヤスク ショウキボ データ ニ モ テキヨウ カノウ ナ リロンカ ノ テツズキ

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抄録

小論では,初学者が比較的容易に着手し得る質的データ分析のための手法SCAT(Steps for Coding and Theorization)を紹介する。この手法は,筆者自身の大学院ゼミでの指導を通して,その有効性を一定に検証しているとともに,質的研究手法に関するいくつかのワークショップで紹介し,その後,参加者によって実際に研究に使用されている。この手法では,観察記録や面接記録などの言語データをセグメント化し,そのそれぞれに,〈1〉データの中の着目すべき語句,〈2〉それを言いかえるためのデータ外の語句,〈3〉それを説明するための語句,〈4〉そこから浮き上がるテーマ・構成概念の順にコードを考案して付していく4ステップのコーディングと,そのテーマや構成概念を紡いでストーリー・ラインと理論を記述する手続きとからなる分析手法である。この手法は,一つだけのケースのデータやアンケートの自由記述欄などの比較的小さな質的データの分析にも有効である。小論ではその手続きを,具体的な分析例とともに示し,実施の際の注意点を述べている。この手法の意義は,分析手続きの明示化,分析の初段階への円滑な誘導,分析過程の省察可能性と反証可能性の増大,理論的コーディングと質的データ分析の統合である。

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被引用文献 (13)*注記

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