導電率情報を利用した灌漑水の全窒素濃度の推定

  • 富田 景子
    九州大学大学院生物資源環境科学府生産環境科学専攻生産環境情報学研究室
  • 平井 康丸
    九州大学大学院生物資源環境科学府生産環境科学専攻生産環境情報学研究室
  • 別府 佑一郎
    九州大学大学院生物資源環境科学府生産環境科学専攻生産環境情報学研究室
  • 濱上 邦彦
    九州大学大学院生物資源環境科学府生産環境科学専攻生産環境情報学研究室
  • 森 建
    九州大学大学院生物資源環境科学府生産環境科学専攻生産環境情報学研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Estimation of Total Nitrogen Concentration in Irrigation Water based on Electric Conductivity
  • ドウデンリツ ジョウホウ オ リヨウシタ カンガイスイ ノ ゼン チッソ ノウド ノ スイテイ

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抄録

灌漑水中のT-Nを推定する方法として導電率(EC)情報の利用を検討した。福岡県八女郡星野村の異なる3つの水系に位置する広内、鹿里、藤山地区の棚田を対象に水質調査したところ、ECとT-Nには正の相関が認められた。EC値に基づいてT-Nを推定する回帰式を求めた結果、回帰式の傾き、切片は水系ごとに異なり、傾き、すなわちEC値に対するT-Nの変化割合は、広内、鹿里、藤山の順に大きかった。回帰式の係数が水系ごとに異なる要因として、水中のイオンの影響を考察した。T-Nに対する陰イオンおよび金属元素の濃度変化をみると、SO4(2-)、CaおよびMgで正の相関がみられた。SO4(2-)との相関は、肥料として使われた硫酸アンモニウムの影響と考えられた。Ca、Mgとの相関については、本研究において、T-NのうちNO3-Nが占める割合が大きかったことから、NO3-N濃度が高い地点で土壌からCa(2+)、Mg(2+)が溶出したためと考えられる。また、水系周辺の樹木が土壌成分(イオン量)に影響を与えている可能性も考察された。以上の結果かち、水系ごとにEC値と、T-Nの関係について線形回帰式を求めることにより、T-Nを推定し得ることが示唆された。

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