マテバシイ林における年間樹冠遮断量の推定

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  • Estimation of Annual Canoppy Interception by Lithocarpus edulis Nakai
  • マテバシイリン ニ オケル ネンカンジュカン シャダンリョウ ノ スイテイ

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抄録

森林地における水循環のメカ二ズムを定量的に評価するために,九州大学農学部附属演習林内のマテバシイ(Lithocarpus edulis Nakai)林において2000年7月から1年間,林内雨量および樹幹流下量を観測し,また隣接する草地で林外雨量を測定することによって年間樹冠遮断量の推定を行った.林内雨量は,林内雨の空間的ばらつきの影響を考慮するため,林内に設置された4台の転倒マス雨量計の観測値を,36個の貯留式雨量計の測定値から補正して算出した.樹幹流については,測定対象木の1.5mの高さに採取器を設置し,転倒マス雨量計と大型流量計によって計測を行った.樹幹流計測対象木は長期連続観測用に3本,樹木サイズと樹幹流下量の対応関係検証用に4本選定した.2000年7月11日から2001年の7月10日までの期間における連続観測の結果,全降雨イベントを対象とした年間林外雨量は1582.5mmであり,林内に設置した雨量計による実測データから樹冠遮断量を計算できた期間(欠測期間の雨量:42.6mmを除いた値)における林外雨量は1539.9mm,林内雨量が457.Omm(林外雨量の29.7%),樹幹流下量が773.3mm(林外雨量の50.2%)となり,年間の樹冠遮断量は309.6mm(林外雨量の20.1%)となった.林内雨の空間的ばらつきについては,平均林内雨量の2倍以上の値を示す集中滴下点が存在したが,転倒マス雨量計1台につき9個の貯留式雨量計を用いてデータを補正することにより,平均的な林内雨の値が得られた.また本研究が対象とした林分における樹幹流下量は,胸高直径よりも樹冠投影面積に依存して変化することがわかった.

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