有機リン中毒後の膵仮性嚢胞

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  • Pancreatic Pseudocyst after Acute Organophosphate Poisoning
  • Case Report: Pancreatic Pseudocyst after Acute Organophosphate Poisoning

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抄録

有機リンは強力な抗コリンエステラーゼ活性をもつため, 様々な重篤な中毒症状を示す. 急性有機リン中毒の合併症のひとつとして急性膵炎を発症することがあるが, その関係についてはいまだ広く認識されているとは言い難い. 今回, 我々は急性有機リン中毒後に難治性の膵仮性嚢胞を発症した一例を経験したので文献的考察を含めて報告する. 症例は73歳, 男性. 2001年10月に急性有機リン中毒にて救急病院に搬送され, アトロピン, PAMの使用にて救命された. 同病院の入院時血液検査にて高アミラーゼ血症を認め, さらに入院中からしばしば上腹部痛を認めるも放置されていた. 同病院退院後, 上腹部痛続くため, 近医受診, 膵に嚢胞性病変認め, 精査加療目的にて2002年2月当科紹介入院となった. 入院時血液検査にて高アミラーゼ血症を認め, 各種画像検査にて膵尾部に約7cmの仮性嚢胞を認めた. 急性有機リン中毒から急性膵炎を合併した結果, 膵仮性嚢胞を発症したと考えた. 絶食の上, 長期間の中心静脈栄養, 蛋白分解酵素阻害剤, オクトレオチドにて治療を行うも嚢胞の縮小は認めず, 結果的に胃嚢胞吻合術を必要とした. 急性有機リン中毒に合併する高アミラーゼ血症と急性膵炎は文献的にも必ずしも稀ではなく, 急性有機リン中毒患者の診療の際には膵障害の十分な評価も必要であると考えられた.

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