手術により巨細胞性動脈炎の関与が明らかとなった胸部大動脈瘤症例

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  • A Case of Isolated Thoracic Aortic Aneurysm as a Manifestation of Undiscovered Giant Cell Arteritis
  • Case report: A case of isolated thoracic aortic aneurysm as a manifestation of undiscovered giant cell arteritis

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抄録

胸部エックス線写真での大動脈弓拡大と心臓超音波検査での大動脈弁閉鎖不全にて受診した73歳女性. 胸部CT検査にて, 上行大動脈に径7cmの大動脈瘤があることが明らかとなった. 術前の各種検査において, 全身の動脈硬化病変は冠動脈含めてほとんど認められていなかった. 心臓外科にて人工心肺下で上行大動脈瘤切除・人工血管置換術を施行され(大動脈弁置換術は施行せず), その際に切除した上行大動脈瘤の組織所見から巨細胞性肉芽腫が認められ, 巨細胞性動脈炎が基礎疾患であることが明らかとなった. 術前には頭痛やリウマチ性多発筋炎の症状・血沈充進・CRP陽性がなく, またそれらを含めて側頭動脈炎を示唆する所見がなく動脈生検を行っていなかったため, 予測は困難であった. 術後は大動脈弁閉鎖不全も改善し, 術後経過良好で退院となった(しかし, 術後3ケ月目に吻合部破裂によるものと思われる突然死となった). 日本においては, 大動脈瘤の原因として巨細胞性動脈炎の報告例は非常に少ない. しかし, これまでの海外での報告例や剖検例での検討では, 巨細胞性動脈炎は大動脈瘤を引き起こすことはまれではない. 胸部大動脈瘤の患者において, 動脈硬化が軽度など原因が特定できない場合には巨細胞性動脈炎によるものの可能性がある.

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