人工膝関節置換術において,改良型ligamentdependentcut法により関節裂隙の距離はコントロール可能である

書誌事項

タイトル別名
  • Distance of the Femorotibial Joint Gap can be Controlled in the Modified Ligament Dependent Cut Procedure during Total Knee Arthroplasty

この論文をさがす

説明

現在の人工膝関節置換術(以下,TKA)では1igamentindependentcut法が主流であるが,靱帯バランスが獲得できない症例もある.本研究では,靱帯バランサーを用いて開大した関節裂隙の距離と使用した脛骨インサートの厚みの関係を調査した.さらにその結果をもとにligamentdependentcut法の改良型に関して検討を加えた.Zimmer社LPSPSシステムを使用した50症例において,術中,まず,大腿骨遠位および脛骨近位を機能軸に垂直に切骨した.靱帯バランサーを使用して,膝伸展位で靱帯バランスを獲得し,裂隙間の距離を計測,その距離を距離Gとした.次に膝屈曲90度で裂隙を開大し,伸展位と同様の裂隙を作成するようにAPカットを行った.その後,使用した脛骨インサートの厚みと距離Gの関連を検討した.さらにレントゲン上から予想される大腿骨コンポーネントと実際に使用したサイズの関係に関しても検討を行った.その結果,靱帯バランサーを用いて30インチポンドにて開大した伸展位での裂隙の距離は,10mmの厚みのインサートを用いる場合は24~25mmが最適であると判明した.本結果は逆に裂隙を24~25mmに設定すると10mmのインサートが使用可能となることを意味している.本コンセプトを用いると1igamentdependentcut法を改良することが可能となる.内側型変形性膝関節症に対する改良ligamentdependentcut法の手術手技を以下に示す.まず,大腿骨遠位および脛骨近位を基本的に機能軸に垂直に切骨する.脛骨の切骨レベルは24~25mmになるように決定する.通常,外側の靱帯が緩んでいるため,内側の靱帯剥離が必要になり,脛骨切骨量は通常の手技で行われているコンポーネントの厚み分より小さくなる.骨棘を切除後,脛骨切骨面に脛骨トレイをのせてサイズを決定,トレイに覆われていない内側穎も切除する.この時点で靱帯バランサーを用いて30インチポンドで裂隙を開大し,膝伸展位および屈曲90度でのangularasymmetryを計測する.この結果にて内側靱帯剥離の順序を決定するが,膝伸展位にて靱帯バランスを獲得した後に伸展位での裂隙間距離を計測する.次に膝屈曲位にてangularasymmetryを計測するが,この角度がAPカットの外旋度となる.さらに伸展位裂隙間距離を参考にしてコンポーネントのサイズを決定する.本手技の最も重要な長所はAPカットの前に後方穎切骨線の角度と部位を評価できることである.本手技では前額面アライメントは機能軸を基準に,回旋アライメントは靱帯バランスと解剖学的ランドマークを参考に決定する.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ