中国における食品安全行政の新局面及びその課題 : 国務院機構改革と日本の経験

  • 李 東坡
    中国河北省社会科学院農村経済研究所
  • 南石 晃明
    九州大学大学院農学研究院農業資源経済学部門農業資源経済学講座農業経営学研究室

書誌事項

タイトル別名
  • New Perspectives and Challenges of Food Safety Administration in China : The State Council Institutional Reform and Japanese Experiences
  • チュウゴク ニ オケル ショクヒン アンゼン ギョウセイ ノ シン キョクメン オヨビ ソノ カダイ : コクムイン キコウ カイカク ト ニホン ノ ケイケン

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抄録

中国では,不祥事の頻発や不満足な政府の処置などにより,食品の安全に対して,国民は多くの懸念を抱いている。2013年3月14日,第12期全人代の第1回会議において,「国務院の機構改革・機能転換計画」が議決され,国民は食品の安全確保を含め,政府サービスを向上させることを期待している。これをきっかけに,本稿は中国の食品安全行政の新局面及びその課題を分析し,日本との比較研究を通じて,さらなる改革に関する政策提言を行うことを目指している。まず,「大部制」改革の推進,脅かされる食品の安全・安心,食品安全法と食品安全委員会の成立など,この計画の確立背景を分析した。さらに,改革採択の前後に主要な担当省庁の比較を通じて,食品安全確保の向上をめぐり,この機構改革・機能転換計画の主な内容をまとめた。同計画の実行とともに,より少ない省庁に集中された機能,より明確なリスク評価と管理の機能区別により,食品の安全確保はさらに向上されることが期待されている。しかし,リスクアナリシスの理論によれば,不充分なリスクコミュニケーション,一部の省庁間における機能の重複など,国際経験を参照しながら解決すべき欠点が挙げられる。したがって,本稿は充実した法律やバランスされた関係省庁の機能を持つ日本の経験を見直し,両国の食品安全行政システムを比較した。最後に,中国の食品安全行政体制の向上に資するため,消費者の参加,法律や制度の整備を改善する観点から,政策提言を行った。

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